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「まだおねしょ、大丈夫?」、夜尿症のギモンにお答えします
Vol.66泌尿器

「まだおねしょ、大丈夫?」、夜尿症のギモンにお答えします

5歳を過ぎても月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合、「夜尿症」と定義される

泌尿器全年齢18
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 14·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • 5歳を過ぎても月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合、「夜尿症」と定義される
  • 夜尿症は「夜間の抗利尿ホルモン分泌不足」と「膀胱容量の未熟さ」が二大要因
  • 叱る・罰するは絶対にNG、「起こさず・焦らず・叱らず」が対応の3原則

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.066

「まだおねしょ、大丈夫?」、夜尿症のギモンにお答えします

今号のポイント

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    5歳を過ぎても月に1回以上のおねしょが3か月以上続く場合、「夜尿症」と定義される
  2. 4
    夜尿症は「夜間の抗利尿ホルモン分泌不足」と「膀胱容量の未熟さ」が二大要因
  3. 6
    叱る・罰するは絶対にNG、「起こさず・焦らず・叱らず」が対応の3原則

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「うちの子、もう6歳なのに、まだ毎晩おねしょするんです……」「小学校に入るのに、お泊まり学習が心配で……」「私の育て方が悪いのでしょうか?」

おねしょ(夜尿症)は、保護者の方にとって相談しにくいテーマのひとつかもしれません。「いつか自然に治るだろう」と様子を見ていたけれど、なかなか改善しない。周りのお友だちはもうおねしょしていないようだけど、うちの子だけ……と、不安や焦りを感じている方は少なくありません。

でも、安心してください。おねしょはお子さんのせいでも、保護者の方の育て方のせいでもありません。体の発達が関係する、れっきとした医学的な状態です。そして、適切な対応と治療で改善が期待できます。

今回は、おねしょ(夜尿症)について、よくある質問にお答えしていきます。

Q1.「何歳までおねしょは"普通"ですか?いつから心配すべきですか?」

——5歳の息子がまだ毎晩おねしょします。同い年のお友だちはもう夜もパンツで寝ているようです。何歳くらいまでなら普通なのでしょうか?

まず、おねしょはとてもよくあることです。5歳でのおねしょは、決して珍しくありません。

夜尿症の定義(国際小児禁制学会: ICCS)[1]:

5歳以上の小児が、月に1回以上の夜間の不随意な排尿を、3か月以上続けている状態

つまり、5歳未満のおねしょは発達の途中段階であり、原則として夜尿症とは呼びません [1][2]。

年齢別のおねしょの頻度:

おねしょのある子の割合

3歳
約40%
5歳
約15〜20%
7歳
約10%
10歳
約5%
15歳
約1〜2%
成人
約0.5〜1%

コメント

3歳
まだ多くの子がおねしょをしている [2]
5歳
5人に1人前後。まだよくあること [2][3]
7歳
10人に1人。小学校入学後も珍しくない [2][3]
10歳
クラスに1〜2人はいる計算 [3]
15歳
思春期までに大部分が自然治癒 [2][3]
成人
ごくまれに持続することがある [3]

おねしょの自然治癒率は、毎年約15%の子が自然に治るとされています [2][3]。つまり、何も治療しなくても、年を重ねるごとに減っていきます。

ただし、以下の場合は小児科への相談をお勧めします:

受診を勧めるタイミング理由
6歳以降もおねしょが続いている治療介入で改善が期待できる時期 [2]
毎晩おねしょする場合自然治癒に時間がかかる可能性が高い [3]
一度治まっていたのに再発した場合心理的ストレスや器質的疾患の可能性 [1]
昼間のおもらしも伴う場合膀胱機能の問題を精査する必要がある [1]
お子さん本人が困っている場合自尊心やQOLへの影響を考慮 [4]

ポイント

  • 5歳でおねしょがあるのは5人に1人。よくあることです [2][3]
  • 毎年約15%が自然に治りますが、6歳以降は相談することで早く改善できる可能性があります [2]
  • 一度治ったのに再発した場合(二次性夜尿症)は、ストレスや基礎疾患の評価が必要です [1]

Q2.「なぜおねしょするのですか?原因は何ですか?」

——もう5歳なのに、なぜ夜の間おしっこを我慢できないのでしょうか?水分を摂りすぎているのでしょうか?

おねしょの原因は『水分の摂りすぎ』ではありません。主に体の発達の問題が2つ関わっています。

夜尿症の3つの主要メカニズム:

説明

1. 夜間の尿量が多い(夜間多尿)
睡眠中の抗利尿ホルモン(バソプレシン/ADH)の分泌が不十分で、夜間の尿産生量が多い [2][5]
2. 膀胱容量が小さい
年齢に比べて機能的膀胱容量が小さく、夜間に産生された尿を溜めきれない [2][5]
3. 覚醒障害
膀胱がいっぱいになっても尿意で目が覚めにくい [2][5]

割合

1. 夜間の尿量が多い(夜間多尿)
約60〜70%
2. 膀胱容量が小さい
約20〜30%
3. 覚醒障害
ほぼ全例に関与

抗利尿ホルモン(ADH)と夜尿症の関係:

通常、夜間は脳下垂体から抗利尿ホルモン(ADH)が多く分泌され、腎臓での水の再吸収を促進することで尿量を減少させます。これにより、夜間の尿量は昼間の約半分になります [5]。

正常

夜間のADH分泌
昼間の2〜3倍に増加 [5]
夜間尿量
昼間の約50%
膀胱容量
年齢相応
覚醒閾値
尿意で覚醒できる

夜尿症のお子さん

夜間のADH分泌
増加が不十分
夜間尿量
昼間と同程度かそれ以上
膀胱容量
年齢より小さいことがある
覚醒閾値
深い睡眠で覚醒しにくい

遺伝的要因も大きい:

親の夜尿歴子の夜尿症リスク
両親ともに夜尿歴あり約77% [2][6]
片親に夜尿歴あり約44% [2][6]
両親ともに夜尿歴なし約15% [2][6]

つまり、おねしょは体質として受け継がれやすいのです。「お父さん(またはお母さん)も小さいとき、おねしょしていたんだよ」と話してあげると、お子さんの気持ちが楽になることもあります。

除外すべき基礎疾患:

ほとんどの夜尿症は機能的なものですが、まれに以下の疾患が隠れていることがあります [1][2]:

疾患特徴
尿路感染症頻尿、排尿痛、発熱を伴う
便秘直腸に便が溜まり膀胱を圧迫する(意外と多い)[7]
1型糖尿病多飲・多尿・体重減少
尿崩症著しい多飲・多尿
神経因性膀胱脊髄の異常に伴う排尿障害
閉塞性睡眠時無呼吸いびき、睡眠中の呼吸停止 [8]

ポイント

  • おねしょの主因は「夜間のADH分泌不足」と「膀胱容量の未熟さ」で、お子さんの意志の問題ではありません [2][5]
  • 遺伝的要因が大きく、両親に夜尿歴がある場合、子の約77%が夜尿症になります [2][6]
  • 便秘が夜尿症を悪化させることがあるため、便通の管理も大切です [7]

Q3.「おねしょの治療法はありますか?」

——来年から小学校に入るので、お泊まり行事のことを考えると心配です。治療する方法はあるのでしょうか?

はい、夜尿症には効果が実証された治療法がいくつかあります。生活指導を基本としつつ、必要に応じてアラーム療法やお薬を使います。

夜尿症の治療ステップ:

内容

Step 1: 生活指導
水分摂取の時間調整、排尿習慣の見直し [2][9]
Step 2: アラーム療法
夜尿を検知するセンサーで覚醒を促す [2][9][10]
Step 3: 薬物療法
デスモプレシン(DDAVP)[2][9][11]
Step 2+3の併用
アラーム+デスモプレシン [9]

効果

Step 1: 生活指導
約15〜20%が改善
Step 2: アラーム療法
約65〜75%が改善
Step 3: 薬物療法
約60〜70%が改善
Step 2+3の併用
単独より効果的な場合がある

アラーム療法

アラーム療法は、夜尿症治療において最も推奨される第一選択の治療法のひとつです [9][10]。

項目内容
仕組み下着に小さなセンサーを装着。おしっこの湿気を検知するとアラームが鳴り、お子さんを起こす [10]
治療原理「膀胱がいっぱい→覚醒」の条件反射を徐々に学習させる [10]
治療期間最低3か月の継続使用が推奨。14日以上連続でおねしょがなくなるまで [9][10]
成功率約65〜75% [10]
再発率約15〜30%(薬物療法より低い)[10]
長所長期的な効果が高い。薬の副作用がない [10]
短所家族の協力が必要(最初は保護者がアラームで起きてお子さんを起こす必要がある)[10]

デスモプレシン(DDAVP)

デスモプレシンは、抗利尿ホルモン(ADH)の合成類似体で、夜間の尿量を減らす効果があります [11]。

項目内容
作用腎臓での水の再吸収を促進し、夜間尿量を減少させる [11]
投与方法口腔内崩壊錠(OD錠)。就寝前に舌下で溶かして服用 [11]
効果発現服用開始後すぐに効果が出ることが多い [11]
成功率約60〜70%(使用中の改善率)[9][11]
再発率約50〜60%(中止後の再発がやや多い)[11]
副作用水中毒(低ナトリウム血症)のリスク。就寝前の水分摂取を制限することで予防 [11]
使用時の注意就寝前2時間は水分を控える。発熱・嘔吐・下痢時は一時中止 [11]

デスモプレシンが特に適しているケース:

ケース理由
夜間多尿タイプのお子さんADH不足を直接補う効果が高い [9][11]
お泊まり行事など、短期間だけ必要な場合即効性がある [11]
アラーム療法が継続困難な家庭服用だけで済む

治療選択のフローチャート:

お子さんの状態推奨される治療
夜間多尿が主体(朝の尿量が多い、膀胱容量は正常)デスモプレシンが第一選択 [9]
膀胱容量が小さい(昼間の頻尿あり)アラーム療法が第一選択 [9]
両方の要素がある併用療法を検討 [9]
生活指導で改善しない場合アラームまたはデスモプレシンを追加 [9]

ポイント

  • アラーム療法は長期的な治療効果が高く、再発率も低い治療法です [10]
  • デスモプレシンは即効性がありますが、中止後の再発がやや多い傾向があります [11]
  • お子さんのタイプに合った治療法を、小児科医と相談して選びましょう [9]
  • お泊まり行事だけが心配なら、短期間のデスモプレシン使用も選択肢です [11]

Q4.「おねしょの子どもに、やってはいけないことはありますか?」

——正直、つい叱ってしまうことがあります。夜中に起こしてトイレに連れて行くこともあるのですが、これは良くないのでしょうか?

お気持ちはよく分かりますが、叱ることと夜中に起こすことは、どちらも逆効果であることが分かっています。夜尿症対応の3原則は『起こさず・焦らず・叱らず』です。

やってはいけないこと(NG対応):

なぜダメか

叱る・罰する
子どもの自尊心を傷つけ、ストレスで夜尿が悪化する [4][12]
夜中に無理やり起こしてトイレに連れて行く
ADHの夜間分泌パターンが乱れる。「膀胱がいっぱい→覚醒」の学習を阻害する [2][9]
水分を極端に制限する
脱水のリスク。日中の水分摂取は自由にすべき [9]
おむつを恥ずかしいものとして扱う
防水シーツや夜用パンツ(おむつ)の使用は悪いことではない [4]
兄弟や友人と比較する
「○○ちゃんはもうおねしょしないのに」は禁句 [4][12]

エビデンス

叱る・罰する
複数の研究で悪影響が確認
夜中に無理やり起こしてトイレに連れて行く
ガイドラインで非推奨
水分を極端に制限する
必要なのは「時間の調整」であって「量の制限」ではない
おむつを恥ずかしいものとして扱う
心理的安全を確保する
兄弟や友人と比較する
個人差が大きい

おねしょが子どもの心に与える影響:

夜尿症は、お子さんの自尊心(セルフエスティーム)に大きな影響を与えることが知られています [4][12]。

影響詳細
自尊心の低下「自分だけがおかしい」と感じる [4]
社会的孤立お泊まり会を避ける、修学旅行を嫌がる [4]
不安・抑うつ夜尿症の子どもは不安レベルが高い傾向 [12]
親子関係への影響叱責の繰り返しは親子関係を悪化させる [12]
治療後の改善夜尿症が治ると自尊心が有意に回復する [4]

ある研究では、夜尿症の子どもにとってのストレスレベルは、「親の離婚」や「転校」に匹敵するほど高いと報告されています [4]。お子さんの心を守ることは、治療と同じくらい大切です。

ポイント

  • 「起こさず・焦らず・叱らず」が夜尿症対応の3原則です [2][9]
  • 叱ることはおねしょを悪化させるだけで、治療効果はゼロです [4][12]
  • 夜中にトイレに起こすことは、体のリズムを乱すため推奨されません [2][9]
  • おねしょは子どもの自尊心に大きく影響します。温かく見守る姿勢が何より大切です [4]
  • 子どもの発達に関する不安については vol033_逆さバイバイは大丈夫 もご覧ください

Q5.「家庭でできる生活上の工夫はありますか?」

——病院で治療を受ける前に、家庭でできることはありますか?日常生活で気をつけるポイントを教えてください。

もちろんあります。生活指導だけでも約15〜20%のお子さんが改善するという報告があります [9]。いくつかの工夫をお伝えしますね。

家庭でできる夜尿症対策:

具体的な方法

水分摂取の時間調整
1日の水分の約70%を午前中〜午後早くに摂る。夕食後は水分を控えめに。就寝前2時間はコップ1杯程度まで [2][9]
夕食の塩分を控える
塩分を多く摂ると喉が渇き、水分摂取量が増える。夕食は薄味を心がける [9]
寝る前のトイレ
就寝直前にトイレに行く習慣をつける [2][9]
便秘の改善
便秘があれば積極的に治療する。直腸の便貯留が膀胱を圧迫する [7][9]
規則正しい生活リズム
十分な睡眠時間を確保し、就寝・起床時間を一定にする [2]
カフェインを避ける
お茶、コーラ、チョコレートなどのカフェインには利尿作用がある。夕方以降は控える [9]
おねしょカレンダー
おねしょの有無を毎日記録する。おねしょがなかった日にシールを貼る [9][12]
防水シーツの使用
後片づけの負担を軽減し、親子双方のストレスを減らす [4]

エビデンス

水分摂取の時間調整
ガイドラインで推奨
夕食の塩分を控える
夜間尿量の減少に寄与
寝る前のトイレ
基本中の基本
便秘の改善
便秘改善で夜尿が改善するケースがある
規則正しい生活リズム
睡眠の質の向上に寄与
カフェインを避ける
夜間尿量の減少に寄与
おねしょカレンダー
モチベーション維持と治療効果の評価に有用
防水シーツの使用
心理的負担の軽減

1日の水分摂取のイメージ:

水分摂取の目安

朝〜昼
1日の約40%
午後
1日の約30%
夕方〜就寝
1日の約30%以下
就寝前2時間
コップ1杯程度

ポイント

朝〜昼
しっかり飲んでOK
午後
適度に摂る
夕方〜就寝
控えめにする。ガブ飲みしない
就寝前2時間
口を潤す程度に留める [9]

おねしょカレンダーのすすめ:

おねしょカレンダーは、お子さんが自分の改善を目で見て実感できる非常に効果的なツールです [9][12]。

カレンダーの工夫効果
おねしょがなかった日にお気に入りのシールを貼る達成感、モチベーション向上
連続ドライの日数を一緒に数える自信につながる
おねしょがあった日は何も書かない(バツ印はNG)失敗を強調しない
2〜3か月継続する治療効果の客観的な評価に役立つ

「え、そんな簡単なことで?」と思われるかもしれませんが、生活指導とカレンダーだけで改善するお子さんも確実にいます。まずはここから始めてみてください。

ポイント

  • 水分は「減らす」のではなく「時間帯を調整する」のが正しいアプローチです [2][9]
  • 便秘の改善が夜尿症の改善につながることがあります(意外と見落とされがち)[7]
  • おねしょカレンダーは、お子さんのモチベーションと治療効果の評価に役立ちます [9][12]
  • 2〜3か月の生活指導で改善しない場合は、アラーム療法やデスモプレシンを検討しましょう [9]

まとめ

おねしょ(夜尿症)のポイントを最後に整理します。

項目内容
定義5歳以上で月1回以上の夜間排尿が3か月以上続くこと [1]
頻度5歳で約15〜20%、7歳で約10%、10歳で約5% [2][3]
原因夜間ADH分泌不足、膀胱容量の未熟さ、覚醒障害 [2][5]
遺伝両親に夜尿歴があると子の約77%が夜尿症 [2][6]
対応の3原則起こさず・焦らず・叱らず [2][9]
治療法生活指導→アラーム療法→デスモプレシン [9]
アラーム療法成功率65〜75%、再発率15〜30% [10]
デスモプレシン成功率60〜70%、再発率50〜60% [11]
受診の目安6歳以降も続く場合、毎晩の場合、再発した場合、本人が困っている場合 [1][2]

おねしょは、お子さんが「わざとしている」のでも、「サボっている」のでもありません。体の成長の途上にある、一時的な状態です。多くの場合、時間の経過とともに自然に治りますし、治療を行えばさらに早く改善が期待できます。

一番大切なのは、お子さんが安心して過ごせる環境を整えてあげること。「おねしょしても大丈夫だよ」「いつか必ず治るからね」、そんな言葉が、お子さんの心の支えになります。

気になることがあれば、遠慮なく小児科に相談してくださいね。

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