愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.232
「精巣が触れません」、停留精巣
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
停留精巣は、精巣が陰嚢内まで下りきっていない状態です。正期産児の約3%、早産児では約30%に見られます [1]。自然下降しなければ生後6〜18か月(できれば12か月まで)の手術が推奨されています [1]。今回は外来でよく聞かれる点をまとめます。
Q1.「停留精巣とは?」
——健診で精巣が触れないと言われました
停留精巣は、精巣が本来あるべき陰嚢内に下降していない状態です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 正期産児の約3%、早産児の約30% [1] |
| 自然下降 | 生後6か月までに約70%が自然下降 [1] |
| 片側が多い | 約80%が片側(右側が多い) |
| 手術の時期 | 生後6〜18か月が推奨(AUAガイドライン)、遅くとも1歳半までに [1] |
ポイント
- 男児の約3%に見られる
- 生後6か月までに多くが自然下降
- 6か月を過ぎて下降しなければ手術を検討
Q2.「移動性精巣とは違いますか?」
——時々触れることがあります
移動性精巣(遊走精巣)は停留精巣とは異なります [2]。
特徴
- 停留精巣
- 常に陰嚢外にある
- 移動性精巣
- 入浴時は陰嚢内にある
治療
- 停留精巣
- 手術が必要
- 移動性精巣
- 経過観察(多くは治療不要)
「移動性精巣は温かい環境(入浴時など)では陰嚢内に触れるのが特徴です。定期的な経過観察は必要ですが、多くは手術不要で思春期までに定位します [2]。」
ポイント
- 移動性精巣と停留精巣は異なる
- 入浴時に触れれば移動性の可能性
- 移動性は多くが手術不要
Q3.「なぜ手術が必要ですか?」
——手術しないとどうなりますか?
停留精巣を放置すると将来のリスクがあります [3]。
| リスク | 詳細 |
|---|---|
| 不妊 | 精子形成に影響(温度環境の問題)[1] |
| 精巣腫瘍 | リスク増加(報告により2〜8倍)[3] |
| 精巣捻転 | ねじれのリスクが高い |
| 鼠径ヘルニア | 合併しやすい |
「13歳までに手術を受けた群は、それ以降の群より精巣腫瘍リスクが有意に低いという報告があります [3]。早期の手術で不妊や腫瘍のリスクを下げられます。」
ポイント
- 不妊と腫瘍のリスクがある
- 早期手術でリスクを低減できる
- AUAは6〜18か月の手術を推奨 [1]
Q4.「手術はどのようなものですか?」
——手術は大がかりですか?
精巣固定術という手術を行います [4]。
| 手術について | 詳細 |
|---|---|
| 術式 | 精巣固定術(orchiopexy) |
| 麻酔 | 全身麻酔 |
| 所要時間 | 約1時間 |
| 入院 | 日帰り〜1泊 |
| 成功率 | 約95%以上 [4] |
| 術後の注意 |
|---|
| 1〜2週間は激しい運動を避ける |
| 入浴は翌日から |
| 定期的な経過観察 |
ポイント
- 日帰りまたは短期入院で行える
- 成功率は95%以上
- 術後の回復は早い
Q5.「健診でのチェックは?」
——健診で必ずチェックされますか?
乳幼児健診で必ず確認する項目です [5]。
| 健診でのチェック | 詳細 |
|---|---|
| 出生時 | 精巣の位置を確認 |
| 1か月健診 | 再確認 |
| 3〜4か月健診 | 下降しているか確認 |
| 6か月以降 | 未下降なら泌尿器科紹介 |
「ご家庭でも入浴時に陰嚢内で精巣が触れるか確認してみてください。左右で明らかに差がある場合は受診をご検討ください。」
ポイント
- 乳幼児健診で必ず確認
- 入浴時に家庭でもチェック可能
- 左右の差が大きい場合は受診
今号のまとめ
- 停留精巣は男児の約3%に見られる
- 生後6か月までに約70%が自然下降
- 手術は生後6〜18か月(できれば12か月まで)が推奨 [1]
- 早期手術で不妊・腫瘍のリスクを低減
- 入浴時のセルフチェックが大切
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ご質問・ご感想
「精巣が触れないと言われました」「手術の時期について教えてほしい」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
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