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「おなかが痛いって言うけど大丈夫?」、幼児の腹痛と便秘を見極める
Vol.461救急

「おなかが痛いって言うけど大丈夫?」、幼児の腹痛と便秘を見極める

1-3歳の腹痛は便秘と胃腸炎が大半だが、腸重積・虫垂炎など急ぐ腹痛の見分け方を知っておきたい

救急1〜3歳7
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 7·Q&A 6問収録

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この記事のポイント

  • 幼児期の腹痛の多くは便秘・胃腸炎で様子見可能だが、腸重積・虫垂炎など緊急性のある原因を見逃さない [1]
  • 小児慢性機能性便秘症はRome IV基準で診断し、日本小児栄養消化器肝臓学会ガイドラインに沿って治療する [2]
  • 間欠的啼泣・血便様便・機嫌不良では腸重積を疑い、発症24時間以内の整復が望ましい [3]

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.461

「おなかが痛いって言うけど大丈夫?」、幼児の腹痛と便秘を見極める

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「おなかが痛いと泣くのですが、受診すべきでしょうか」「便が何日も出ていません」、1〜3歳のお子さんの腹痛や便秘のご相談は外来でも非常に多いテーマです。幼児は症状をうまく言葉にできず、保護者の観察が頼りになります。今回は、幼児期の腹痛の原因、便秘の見極め方、そして救急受診が必要な「赤信号」のサインについて整理します。

Q1.「幼児の腹痛でよくある原因は何ですか?」

——2歳の子がよく『おなか痛い』と言います。どんな原因が多いのですか?

1〜3歳の腹痛の多くは便秘と感染性胃腸炎です [1]。ただし頻度は低くても緊急対応が必要な疾患もあるため、経過と随伴症状で見分けます [1]

原因特徴
便秘幼児期の腹痛で最も多い、排便後に軽快 [2]
感染性胃腸炎嘔吐・下痢・発熱を伴う、ウイルス性が多い [1]
尿路感染症発熱+不機嫌、女児に多い [1]
腸重積間欠的な激しい啼泣、血便様便 [3]
虫垂炎2歳未満では稀だが、穿孔率が高い [4]
鼠径ヘルニア嵌頓鼠径部の腫脹、啼泣で増強 [1]
症状の聞き取りポイント
いつから痛がるか(発症時刻)
持続か間欠的か
排便・排ガスの有無
嘔吐・発熱・血便の有無
機嫌・活気

ポイント

  • 幼児の腹痛の多くは便秘と胃腸炎 [1]
  • まれだが腸重積・嵌頓ヘルニアは急ぐ [3]
  • 排便後に軽快するかは重要な手がかり

Q2.「すぐ受診すべき腹痛のサインは?」

——家で様子を見てよいか、すぐ病院に行くべきか迷います

顔色不良、繰り返す嘔吐、血便、激しい啼泣の反復、鼠径部の腫脹などは緊急受診の対象です [1,3]。

救急受診のサイン
顔色不良・ぐったりしている [1]
胆汁性(緑色)嘔吐 [1]
血便・イチゴゼリー状便 [3]
15〜20分ごとに激しく泣いて収まるを繰り返す [3]
鼠径部や陰嚢の腫れ・痛み [1]
6時間以上続く強い腹痛 [1]
歩けない・右下腹部を押さえてうずくまる [4]
様子を見てよいサイン
排便やガス排出後に軽快する
食欲・活気がある
嘔吐・発熱・血便がない
短時間で消失し繰り返さない

ポイント

  • 顔色不良・繰り返す嘔吐は受診の合図 [1]
  • 胆汁性嘔吐は腸閉塞を疑う [1]
  • 間欠的啼泣の反復は腸重積の典型 [3]

Q3.「腸重積ってどんな病気ですか?」

——腸重積という言葉を聞いて心配です

腸の一部が隣の腸の中に入り込んでしまう病気で、生後3か月〜2歳に多く発症します [3]。24時間以内に整復すれば多くは非観血的(高圧浣腸)に治せます [3]

腸重積の典型的な3徴 [3]
間欠的な激しい啼泣(約15〜20分周期)
嘔吐
血便(イチゴゼリー状便)
診断と治療
腹部超音波で「ターゲットサイン」を確認 [3]
発症24時間以内の高圧浣腸(空気または造影剤)で整復 [3]
整復困難・穿孔疑いでは手術 [3]
再発は約10% [3]

ポイント

  • 発症早期の診断が予後を決める [3]
  • 夜間でも疑ったら救急受診 [3]
  • 超音波で診断可能 [3]

Q4.「便秘と言われました。どう判断しますか?」

——排便が週に2〜3回しかありません。便秘でしょうか

小児慢性機能性便秘症はRome IV基準で診断します [2,5]。週2回以下の排便、硬便・兎糞便、便失禁、排便時の痛み、大きな便塊などから2項目以上が1か月以上続く場合に診断されます [5]

Rome IV 小児便秘診断基準(4歳未満、2項目以上・1か月以上) [5]
週2回以下の排便
過度の便貯留の既往
排便時の痛みまたは硬便の既往
大きな便塊の既往
直腸内の大きな便塊
(トイレットトレーニング後)週1回以上の便失禁・トイレを詰まらせる大きな便
便秘悪化の契機 [2]
離乳食・幼児食への移行
トイレットトレーニング
集団生活(保育園・幼稚園)開始
痛い排便の記憶による排便我慢

ポイント

  • 排便回数だけで判断しない [5]
  • 硬便・排便時痛・便塊も重要な指標 [5]
  • 生活の節目で悪化しやすい [2]

Q5.「便秘の治療はどうするのですか?」

——市販の浣腸を使ってよいのでしょうか?

日本小児栄養消化器肝臓学会のガイドラインでは、まず便塊除去(disimpaction)を行い、その後に維持療法として浸透圧性下剤を続けることが推奨されています [2]。2歳以上ではポリエチレングリコール製剤(モビコール®)が第一選択です [2]

治療の原則 [2]
便塊があれば浣腸・経口下剤で除去
維持療法を数か月以上継続する
自己判断で中止すると再発しやすい
食物繊維・水分・運動を並行
維持療法に用いる薬剤 [2]
ポリエチレングリコール(2歳以上、第一選択)
酸化マグネシウム(高Mg血症に注意)
ラクツロース(乳児にも使用可)
生活指導
食後にトイレに座る習慣(胃結腸反射の利用)
足台で踏ん張れる姿勢を作る
排便できたら褒める(叱らない)

ポイント

  • 便塊除去→維持療法の2段階 [2]
  • ポリエチレングリコールが2歳以上の第一選択 [2]
  • 維持療法は数か月単位で継続 [2]

Q6.「繰り返す腹痛、心配な病気は隠れていますか?」

——時々おなかを痛がります。重い病気は大丈夫でしょうか

幼児期の反復腹痛の多くは便秘または機能性ですが、体重減少・夜間痛・血便・発熱・発育不良などの警告徴候がある場合は精査が必要です [6]

機能性腹痛を疑ってよい特徴 [6]
痛みが不定で短時間
活気・食欲は保たれる
体重・身長は順調
血便・嘔吐・発熱がない
赤信号(器質的疾患を疑う) [6]
体重減少・成長不良
夜間に目が覚めるほどの痛み
血便・持続する下痢
繰り返す発熱
嘔吐の反復
家族歴(炎症性腸疾患など)
愛育病院での対応
まず便秘の有無を確認(腹部診察・問診)
必要に応じて腹部超音波・尿検査
赤信号があれば採血・画像精査へ

ポイント

  • 反復腹痛の多くは機能性 [6]
  • 赤信号があれば精査 [6]
  • 便秘治療で改善するケースも多い [2]

今号のまとめ

  • 幼児の腹痛の多くは便秘と感染性胃腸炎 [1]
  • 顔色不良・胆汁性嘔吐・血便・間欠的啼泣は救急受診 [1,3]
  • 腸重積は24時間以内の整復が予後を左右する [3]
  • 便秘はRome IV基準で診断し、ガイドラインに沿って治療 [2,5]
  • ポリエチレングリコールが2歳以上の第一選択 [2]
  • 赤信号のない反復腹痛は機能性のことが多い [6]

あわせて読みたい

  • Vol.249「小児の腹痛」
  • Vol.183「小児の慢性便秘」
  • Vol.415「便秘と生活習慣」

ご質問・ご感想

「便秘の薬をいつまで続けるべきか」「腸重積が心配」など、ご質問がございましたらお気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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