愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.249
「おなかが痛い!」、小児の腹痛
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「おなかが痛い」は子どもの訴えで最も多いもののひとつです。原因は便秘から虫垂炎まで様々で、年齢によっても異なります。今回は、子どもの腹痛についてお伝えします。
Q1.「子どもの腹痛の原因は?」
——おなかが痛いとよく言います
子どもの腹痛は年齢によって原因が異なります [1]。
| 年齢 | 多い原因 |
|---|---|
| 乳児 | 腸重積、鼠径ヘルニア嵌頓、便秘 |
| 幼児 | 便秘、胃腸炎、尿路感染症 |
| 学童 | 便秘、機能性腹痛、虫垂炎 |
| 思春期 | 機能性腹痛、月経痛、虫垂炎 |
| 最も多い原因 |
|---|
| 便秘(全年齢で最多) |
| 胃腸炎(感染性) |
| 機能性腹痛(器質的異常なし) |
ポイント
- 便秘が最も多い原因
- 年齢によって原因が異なる
- 多くは重篤な病気ではない
Q2.「すぐに受診すべき腹痛は?」
——どんな時に急いで受診すべきですか?
以下の症状がある場合はすぐに受診してください [2]。
| 緊急のサイン | 詳細 |
|---|---|
| 激しい痛み | 泣き叫ぶ、体を丸める |
| 血便 | いちごジャム状(腸重積の可能性) |
| 胆汁性嘔吐 | 緑色の嘔吐(腸閉塞の可能性) |
| 右下腹部痛 | 虫垂炎の可能性 |
| 腹部膨満 | おなかがパンパンに張る |
| 鼠径部の腫れ | ヘルニア嵌頓の可能性 |
| 腸重積の3徴候 |
|---|
| 突然の腹痛(間欠的に泣く) |
| 嘔吐 |
| 血便(いちごジャム状) |
「乳児の間欠的な腹痛(泣いたり止んだりを繰り返す)は腸重積を疑います。」
ポイント
- 血便・胆汁性嘔吐は緊急
- 右下腹部痛は虫垂炎を疑う
- 乳児の間欠的な腹痛は腸重積の可能性
Q3.「虫垂炎はどう見分けますか?」
——盲腸の見分け方はありますか?
虫垂炎は時間とともに痛みが右下腹部に移動するのが特徴です [3]。
| 虫垂炎の特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 初期 | みぞおち〜おへそ周りの痛み |
| 数時間後 | 痛みが右下腹部に移動 |
| 食欲 | 食欲がなくなる |
| 発熱 | 37-38℃台(高熱は穿孔の可能性) |
| 歩行 | 痛くて歩けない・ジャンプできない |
| 虫垂炎を疑ったら |
|---|
| 食事を摂らせない(絶飲食) |
| 痛み止めは飲んでよい |
| 速やかに受診 |
ポイント
- 痛みが右下腹部に移動する
- 食欲低下は重要なサイン
- ジャンプで痛みが増す
Q4.「機能性腹痛とは?」
——検査では異常がないと言われましたが痛がります
検査で異常がないのに繰り返す腹痛を機能性腹痛と呼びます [4]。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 年齢 | 学童〜思春期に多い |
| 頻度 | 学童の約10-15% |
| 痛みの部位 | おへそ周り |
| 持続 | 数分〜数時間 |
| 増悪因子 | ストレス、不安、疲労 |
| 対応 |
|---|
| 器質的疾患を除外した上で診断 |
| 心理的サポートが重要 |
| 規則正しい生活リズム |
| 登校を促す(休むと悪化しやすい) |
「仮病ではなく、実際に痛いのです。お子さんの痛みを認めた上で、対応することが大切です。」
ポイント
- 検査で異常がなくても痛みは本物
- ストレスが関与することが多い
- 心理的サポートが重要
Q5.「家庭でできる対応は?」
——家でできることはありますか?
まず排便状況を確認してください [5]。
| 対応 | 方法 |
|---|---|
| 排便確認 | 便秘なら浣腸で改善することが多い |
| 温める | おなかにホットタオルを当てる |
| 休ませる | 楽な姿勢で休ませる |
| 水分補給 | 少量ずつ水分を与える |
| 経過観察 | 痛みの場所・程度の変化を確認 |
| 受診までに記録すること |
|---|
| いつから痛いか |
| どこが痛いか(指で示す) |
| 嘔吐・下痢・発熱の有無 |
| 最後の排便はいつか |
ポイント
- まず便秘を疑う
- 痛みの経過を記録
- 悪化するなら受診
今号のまとめ
- 便秘が子どもの腹痛の最も多い原因
- 血便・胆汁性嘔吐は緊急
- 右下腹部に移動する痛みは虫垂炎を疑う
- 機能性腹痛は仮病ではない
- 排便状況の確認が家庭での第一歩
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ご質問・ご感想
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