愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.178
「全身がかゆい!」、疥癬(かいせん)の基礎知識
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚に寄生して起こる感染症です。強いかゆみが特徴で、特に夜間に悪化します。集団生活の場での感染が問題になることがあり、正確な診断と治療が重要です。今回は、小児の疥癬についてお伝えします。
Q1.「疥癬とは?」
——夜になるととてもかゆがります
疥癬はヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)が皮膚の角質層に寄生して起こる皮膚感染症です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | ヒゼンダニ(体長0.2-0.4mm、肉眼ではほぼ見えない) |
| 感染経路 | 肌と肌の直接接触(5-15分以上の密接な接触) |
| 潜伏期間 | 4-6週間(初感染の場合) |
| 特徴的な症状 | 強いかゆみ(特に夜間)、疥癬トンネル |
| 小児の疥癬の特徴 |
|---|
| 大人と分布が異なる(手掌、足底、顔にも出る) |
| かゆみで不機嫌になる |
| 掻き壊しで二次感染を起こしやすい |
| アトピー性皮膚炎と間違われやすい |
ポイント
- ヒゼンダニによる皮膚感染症
- 5-15分以上の密接な肌の接触で感染
- 夜間の強いかゆみが特徴
Q2.「疥癬の症状は?」
——どんな発疹が出ますか?
疥癬には特徴的な症状があります [2]。
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 疥癬トンネル | ダニが皮膚内を掘り進んだ跡。灰白色の線状 |
| 赤い丘疹 | 小さな赤いブツブツ、強いかゆみ |
| 小水疱 | 小さな水ぶくれ |
| かゆみ | 非常に強い。夜間に悪化 |
| 小児での好発部位 |
|---|
| 手のひら、指の間 |
| 足の裏 |
| 腋窩(わきの下) |
| おへその周り |
| 陰部 |
| 顔、頭皮(乳児の場合) |
「乳児では顔や頭皮にも出るのが特徴です。大人では通常顔には出ないため、乳児の疥癬は見逃されやすいです。」
ポイント
- 疥癬トンネルが特徴的
- 夜間の強いかゆみ
- 乳児では顔・頭皮にも出る
Q3.「疥癬の治療は?」
——どうやって治療しますか?
外用薬と内服薬で治療します [3]。
方法
- フェノトリン(スミスリンローション5%)
- 1回30gを頸部以下に塗布、12時間以上おいて洗い流す。1週間隔で2回以上
- イベルメクチン内服
- 約200μg/kgを空腹時に水で1回内服。1週間後に2回目
- クロタミトンクリーム
- 全身に連日塗布
- 硫黄軟膏
- 乳児にも使用可
特徴
- フェノトリン(スミスリンローション5%)
- 日本で承認されている外用薬。推奨度A [1]
- イベルメクチン内服
- 簡便。推奨度A [1]
- クロタミトンクリーム
- 効果はやや劣る
- 硫黄軟膏
- においが強い
| 治療のポイント |
|---|
| 外用薬は首から下の全身に塗る(症状がない部分も) |
| 乳児は頭・顔も含めて全身に塗る |
| 家族全員を同時に治療する |
| シーツ・衣類は50℃以上のお湯に10分以上浸すか、乾燥機で処理 |
| 治療後もかゆみは2-4週間続くことがある |
「治療後のかゆみは、死んだダニへのアレルギー反応です。かゆみが続いても再感染とは限りません。治療後2-4週間はかゆみ止めで対応します。」
ポイント
- 外用薬は全身に塗る
- 家族全員を同時に治療
- 治療後もかゆみは2-4週間続く
Q4.「家族への感染予防は?」
——家族にうつっていないか心配です
家庭内での対策は以下の通りです [4]。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 家族全員の診察 | 症状がなくても感染している可能性がある |
| 同時治療 | 家族全員を同じ日に治療開始 |
| 寝具の洗濯 | 50℃以上のお湯に10分以上浸すか、乾燥機にかける |
| 掃除機 | マットレス、ソファに掃除機をかける |
| 接触の制限 | 治療開始後24時間は密接な接触を避ける |
「疥癬は5-15分以上の肌の密接な接触で感染します。握手や短時間の接触では通常感染しません。ただし、同じ寝具で寝ている家族は感染リスクが高いです。」
ポイント
- 家族全員を同時に治療
- 同じ寝具で寝ている人はリスクが高い
- 短時間の接触では通常感染しない
Q5.「登園・登校はできますか?」
——園を休まなければいけませんか?
治療開始後は登園・登校が可能です [5]。
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 治療開始前 | 園・学校に報告し、対応を相談 |
| 治療開始後 | 外用薬を塗布した翌日から登園可能 |
| 園への情報提供 | 感染拡大防止のため情報共有 |
| 昼寝の対策 | 布団の共有を避ける |
「疥癬は出席停止の対象ではありませんが、集団生活の場での感染拡大を防ぐため、園・学校と連携して対応することが大切です。」
ポイント
- 治療開始後は登園・登校可能
- 出席停止の対象ではない
- 園・学校と連携して対応
今号のまとめ
- 疥癬はヒゼンダニによる皮膚感染症。夜間の強いかゆみが特徴
- 外用薬は全身に塗る。乳児は顔・頭皮も含む
- 家族全員を同時に治療することが重要
- 治療後のかゆみは2-4週間続くことがある
- 治療開始後は登園・登校可能
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- Vol.174「子どもの乾燥肌とスキンケア」
- Vol.164「アトピー性皮膚炎の最新治療」
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ご質問・ご感想
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