コンテンツへスキップ
MINATON
「食べない」の9割は心配いりません、子どもの偏食と食べムラ
Vol.93生活・育児

「食べない」の9割は心配いりません、子どもの偏食と食べムラ

- 1歳半〜3歳の食べムラは正常な発達の一部

生活・育児全年齢8
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 7·Q&A 5問収録

プロフィール →

この記事のポイント

  • - 1歳半〜3歳の食べムラは正常な発達の一部
  • - 判断基準は「成長曲線に沿っているかどうか」
  • - 1食単位ではなく1〜2週間のトータルで見る

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.093

「食べない」の9割は心配いりません、子どもの偏食と食べムラ

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「野菜を一切食べません」「白いものしか食べません」「昨日は食べたのに今日は一口も食べません」、1歳半健診のあと、食事の悩みを打ち明けてくださる保護者の方は本当に多いです。外来で「食べないんです」というご相談は、感染症の次に多いかもしれません。今回は、子どもの偏食と食べムラについてお話しします。

Q1.「1歳半の子が全然食べてくれません。栄養は大丈夫ですか?」

——離乳食の頃はまだ食べていたのに、最近はスプーンを口に近づけるだけで首を振ります……

1歳半〜3歳は食べムラが最も強くなる時期で、この年齢のお子さんの約50%に何らかの食べムラがあるという報告があります [1]。これは自我の芽生えに伴う正常な発達の一部です。大切なのは、食べた量よりも成長曲線に沿って体重が増えているかどうかです。母子手帳の成長曲線を確認して、カーブに沿っていれば栄養不足の心配はまずありません。1食や1日単位ではなく、1〜2週間の全体量で見ていただけると安心できると思います。

ポイント

  • 1歳半〜3歳の食べムラは正常な発達の一部
  • 判断基準は「成長曲線に沿っているかどうか」
  • 1食単位ではなく1〜2週間のトータルで見る

Q2.「野菜を一切食べません。将来の健康に影響しますか?」

——にんじんもブロッコリーも全部吐き出します。栄養が偏って病気になりませんか?

お気持ちはよくわかります。でも、小児期の偏食の多くは『新奇性恐怖(food neophobia)』と呼ばれる、新しい食べものや見慣れない食べものを避ける正常な反応です [2]。進化的には、動き回るようになった幼児が毒のある植物を口にしないための防御反応だと考えられています。Wardle et al.の研究では、嫌いな食品でも調理法や盛り付けを変えながら10〜15回以上食卓に出すことで、受け入れが改善することが示されています [3]。無理に食べさせるのではなく、食卓に『存在させ続ける』ことがポイントです。

ポイント

  • Food neophobia(新奇性恐怖)は正常な発達反応
  • 嫌いな食品も10〜15回食卓に出し続けると改善する可能性
  • 「食べさせる」のではなく「食卓に存在させ続ける」

Q3.「無理に食べさせたほうがいいですか?」

——『食べなさい!』と怒ってしまうことがあります。それでいいのでしょうか……

食べることを強制するのは逆効果であることがわかっています [4]。小児栄養の分野ではSatterの『食事の役割分担(Division of Responsibility in Feeding)』という考え方が広く支持されています [5]。これは、『何を・いつ・どこで食べるかは親が決め、食べるかどうか・どのくらい食べるかは子どもが決める』というシンプルな原則です。親は栄養バランスの良い食事を提供することに集中し、実際に食べるかどうかは子どもに委ねる。こうすることで、子どもは自分の空腹感や満腹感を正しく認識する力が育ちます。

ポイント

  • 強制は逆効果。食事嫌いを悪化させるリスク
  • Satterの役割分担:「出すのは親、食べるかは子ども」
  • 子ども自身の空腹感・満腹感を信じてあげる

Q4.「白いものしか食べません。ARFID(回避・制限性食物摂取症)ですか?」

——ごはん、うどん、食パンしか食べません。ネットで調べたらARFIDという病気が出てきて心配になりました

ARFIDと一般的な偏食には明確な違いがあります [6]。ARFIDは、食物の回避によって①体重減少または成長障害、②栄養欠乏、③経口栄養補助への依存、④社会機能の著しい障害のうち、いずれかが生じている場合に診断されます。お子さんが白いものしか食べなくても、成長曲線に沿って育っていて、保育園や家庭での生活に大きな支障がなければ、ARFIDの可能性は低いです。ただし、食べられるものが極端に少ない(5種類未満)場合や、食事の場面で強い不安を示す場合は、かかりつけ医にご相談ください。

ポイント

  • ARFIDの判断基準は「体重減少・栄養欠乏・社会機能の障害」の有無
  • 成長曲線に沿って育っていれば、一般的な偏食の範囲内
  • 食べられるものが極端に少ない(5種類未満)場合は相談を

Q5.「偏食が心配なとき、受診の目安はありますか?」

——どこまでが『個性』で、どこからが『受診すべき偏食』なのかわかりません

受診を検討していただきたい目安をまとめます。①体重が減っている、または成長曲線を下方に逸脱している、②食べられるものが極端に少ない(5種類程度以下)、③食事のたびに嘔吐や強い不安がある、④特定の食感・色・温度に対する極端な拒否反応がある、⑤鉄欠乏性貧血などの栄養欠乏の症状がある。これらに当てはまる場合は、小児科を受診してください [7]。逆に、成長曲線に沿っていて、元気に過ごしているなら、現段階では心配しすぎなくて大丈夫です。

ポイント

  • 受診の目安:体重減少、食べられるものが5種類以下、嘔吐・強い不安、栄養欠乏
  • 成長曲線に沿って元気なら、過度な心配は不要
  • 心配な場合は小児科で相談を

今号のまとめ

  • 1歳半〜3歳の食べムラは正常な発達の一部です。約50%のお子さんに見られます
  • 判断基準は「成長曲線に沿っているか」。1食ではなく1〜2週間で見てください
  • 新奇性恐怖(food neophobia)は正常な反応。10〜15回食卓に出すことで改善する可能性があります
  • 無理に食べさせるのは逆効果。「出すのは親、食べるかは子ども」がポイントです
  • 受診の目安は体重減少・極端な食品数の少なさ・栄養欠乏のサインです

あわせて読みたい

  • Vol.50「ARFID(回避・制限性食物摂取症)」
  • Vol.75「離乳食の正しい進め方」
  • Vol.46「子どもの鉄欠乏性貧血」

ご質問・ご感想

「うちの子もこれしか食べない!」「食事の時間がストレスです」など、ご感想やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。同じ悩みを持つ保護者の方はたくさんいます。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。

この記事は役に立ちましたか?

※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

関連記事

この記事が含まれる特集