愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.357
「戻るのが怖い」、育休復帰の不安、96%のママが感じる「怖さ」の正体
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
育休からの復帰を控えたお母さんの96%が不安を感じているという調査結果があります [1]。「子どもを預けることへの罪悪感」「職場についていけるか」「呼び出しが来たらどうしよう」。不安の根底にあるのは「どちらも中途半端になるのではないか」という恐れです。ひとつずつ、一緒に整理していきましょう。
預けることは「捨てること」じゃない。「社会の中で育てること」です
まだ1歳にもなっていないのに、毎日泣いて登園する姿を見るのがつらい。その気持ちはよくわかります。罪悪感を持つこと自体が、あなたがよい親である証拠です。
そして、保育園に預けることは子どもの発達にとってマイナスではありません。大規模な研究(NICHD早期保育研究)では、質の高い保育は子どもの認知発達や言語発達にプラスの影響を与えることが示されています [2]。大事なのは「質の高い保育」、つまり保育者と子どもの比率、保育者の応答性、環境の安全性が保たれていること。登園時に泣くのは分離不安の表れで、発達的に正常な反応です。多くの子どもはお母さんが見えなくなると数分で落ち着いて遊び始めます。

おかもん先生より
預けることは「捨てること」ではありません。「社会の中で育てること」です。
復帰1年目に「辞めたい」と思うのは、みんな同じです
時短勤務でも仕事が終わらない。子どもの発熱で突然の呼び出し(年に10~15回は覚悟してください)。「周りに迷惑をかけている」という罪悪感。家に帰ってからの家事・育児という「第二のシフト」 [4]。
復帰1年目に「辞めたい」と思うのは非常に一般的です。でも覚えておいてください。復帰2年目になると子どもの免疫がついて呼び出し回数が減り、生活リズムも安定してきます [3]。この時期の目標は「完璧にこなすこと」ではなく「辞めないこと」です。
最初の3か月は「慣らし期間」と割り切る。わからないことは率直に聞く。同じ立場のワーキングマザーとつながる。育休中に培ったマルチタスク能力や判断力は、職場でも確実に活きるスキルです。
「完璧な両立」は存在しません。今日からその幻想を手放してください
仕事も育児も中途半端で、どちらにも申し訳ない。そう感じているあなたに、はっきり言います。「完璧な両立」は幻想です。
「両立」という言葉は、仕事と育児を同時に100%ずつこなすことを暗示していますが、1日は24時間しかなくエネルギーも有限です。現実的なアプローチは「両立」ではなく「優先順位を決めること」です [4]。
今週の最優先を1つだけ決める。「今日やらなくていいこと」を毎日3つ決める。家事は「最低限」を基準にする。外注できるものは外注する。
「中途半端」ではなく「両方に力を注いでいる」。そう言い換えてみてください。
バックアップ体制は、元気なうちにつくっておく
何かあったときのために、使える制度を知っておくだけで安心感が違います。港区は子育て支援が比較的充実しています。
ファミリーサポートセンターは地域の協力会員が送迎や一時預かりをしてくれるサービスで、事前登録制、1時間800円からです。病児・病後児保育は子どもの体調不良時の預かりで、事前登録と当日予約が必要です。ベビーシッター利用支援は区の助成があります [5]。
病児保育は登録だけでも先にしておいてください。子どもが熱を出してからでは間に合わない場合があります。
今号のまとめ
- 育休復帰への不安は96%のママが経験する普遍的な感情
- 質の高い保育は子どもの発達にプラスの影響がある
- 復帰1年目は「辞めないこと」が目標。2年目から楽になる
- 「完璧な両立」は幻想。優先順位を決めて回すのが現実的
- 港区のサポート(ファミサポ、病児保育)は事前登録しておく
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愛育病院 小児科 おかもん先生
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