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「咳が2週間以上続きます」、幼児の長引く咳と気管支炎・喘息の見分け方
Vol.466

「咳が2週間以上続きます」、幼児の長引く咳と気管支炎・喘息の見分け方

3-6歳の咳は風邪後が大半だが、4週間以上の慢性咳嗽は喘息・感染後咳嗽・アレルギーを鑑別。受診の目安と治療方針

3〜6歳8
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 7·Q&A 6問収録

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この記事のポイント

  • 咳の持続期間で急性(3週未満)・遷延性(3-8週)・慢性(8週以上)に分類 [1]
  • 幼児の慢性咳嗽の主な原因は喘息・感染後咳嗽・アレルギー性鼻炎・後鼻漏 [1]
  • 夜間・早朝の咳、運動・冷気での悪化、笛のような呼吸音は喘息を示唆 [2]

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.466

「咳が2週間以上続きます」、幼児の長引く咳と気管支炎・喘息の見分け方

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「風邪はもう治ったのに咳だけ続きます」「夜中に咳き込んで起きてしまいます」「気管支炎と言われましたが喘息ではないですか」、3〜6歳は気道が狭く、ウイルス感染後に咳が長引きやすい年齢です。一方で、就学前は喘息が初発しやすい時期でもあります。今回は、幼児の長引く咳の分類・原因・受診の目安・喘息との見分け方について整理します。

Q1.「咳はどれくらい続いたら異常ですか?」

——咳が2週間続いています。これは長すぎますか?

小児の咳は持続期間で分類されます [1]。3週間未満は急性咳嗽でウイルス性上気道炎が最多、3〜8週間は遷延性咳嗽、8週間以上続く場合は慢性咳嗽として鑑別診断が必要です [1]。風邪後の咳は通常2〜3週間で改善しますが、4週間以上続く場合は原因精査を検討します [1]

咳の期間による分類 [1]
急性咳嗽:3週間未満(多くは風邪)
遷延性咳嗽:3〜8週間
慢性咳嗽:8週間以上
幼児の慢性咳嗽の主な原因 [1]
気管支喘息
感染後咳嗽(ウイルス後)
アレルギー性鼻炎・後鼻漏
副鼻腔炎
百日咳
マイコプラズマ感染症
胃食道逆流症(GERD)
心因性咳嗽
緊急性の高い咳 [1]
誤嚥が疑われる突然の咳
血痰
体重減少・発熱を伴う
犬吠様咳嗽(クループ)
哺乳・呼吸困難を伴う

ポイント

  • 3週未満は急性、8週以上は慢性 [1]
  • 4週以上は原因精査を検討 [1]
  • 誤嚥・血痰は緊急 [1]

Q2.「風邪の後の咳はなぜ長引くのですか?」

——熱は下がりましたが咳だけ残っています

感染後咳嗽(post-infectious cough)はウイルス感染で気道上皮が障害され、咳受容体が過敏になった状態で、多くは3〜8週間で自然軽快します [3]。特にRSウイルス・マイコプラズマ・百日咳の後は咳が長引きやすいことが知られています [3]。聴診上の喘鳴がなく、夜間・早朝の悪化もなければ経過観察で対応します [3]

感染後咳嗽の特徴 [3]
乾いた咳または少量の痰
発熱は改善している
聴診で明らかな喘鳴なし
体重増加・活動性は保たれている
多くは3〜8週間で自然軽快
長引きやすい感染症 [3]
RSウイルス感染症
マイコプラズマ肺炎
百日咳
アデノウイルス感染症
家庭でのケア [3]
加湿(湿度50〜60%)
水分をこまめに
受動喫煙を避ける
室温を急激に下げない
鼻水がある場合は鼻吸引

ポイント

  • 感染後咳嗽は3〜8週で自然軽快 [3]
  • 喘鳴がなければ経過観察 [3]
  • RS・マイコ・百日咳は特に長引く [3]

Q3.「喘息と気管支炎はどう見分けますか?」

——気管支炎と言われましたが、喘息の始まりではないですか?

幼児の喘息は『夜間・早朝の咳』『運動・冷気で悪化する咳』『呼気時の笛のような呼吸音(wheezing)』が特徴です [2]。気管支炎は通常、ウイルス感染に伴う急性の気道炎症で数週間で軽快しますが、反復する場合は喘息を疑います [2]。日本小児アレルギー学会の小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023では、2歳未満でも喘鳴を3回以上繰り返す場合は喘息として対応することが推奨されています [2]

喘息を示唆する所見 [2]
夜間・早朝に悪化する咳
運動・冷気・笑いで誘発される咳
呼気時の笛のような呼吸音
アトピー素因(家族歴・アトピー性皮膚炎)
気管支拡張薬で咳・喘鳴が改善
喘鳴の反復(3回以上)
気管支炎(急性)の特徴 [2]
ウイルス感染に伴う発症
湿った咳と喀痰
数週間で軽快
反復しない
両者の鑑別が難しい場合 [2]
2歳未満のRS・ライノウイルス感染後
喘鳴がウイルス感染時のみ出現(episodic viral wheeze)
ロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入ステロイドの試験的使用で判断

ポイント

  • 夜間・早朝の咳、呼気性喘鳴は喘息示唆 [2]
  • 喘鳴反復3回以上で喘息として対応 [2]
  • 気管支拡張薬への反応が手がかり [2]

Q4.「喘息と診断されたら何をしますか?」

——喘息と言われました。治療はどう進みますか?

小児気管支喘息の治療は『発作治療』と『長期管理』の2本立てです [2]。発作時は気管支拡張薬(β2刺激薬吸入)で対応し、慢性的な気道炎症には吸入ステロイド薬(ICS)やロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を用いた長期管理を行います [2]。環境整備(ダニ・受動喫煙対策)も並行して行います [2]

長期管理の治療ステップ [2]
ステップ1:発作時のみ気管支拡張薬
ステップ2:低用量ICSまたはLTRA
ステップ3:中用量ICSまたはICS+LTRA
ステップ4:高用量ICS+LTRA等
発作時の対応 [2]
小発作:気管支拡張薬吸入・内服
中発作:吸入反復・経口ステロイド
大発作:救急受診(酸素・静注治療)
環境整備 [2]
布団・シーツのダニ対策(週1回の洗濯・乾燥)
受動喫煙の回避
ペットの寝室同居を避ける
空気清浄機の活用

ポイント

  • 発作治療と長期管理の2本立て [2]
  • 吸入ステロイドが長期管理の基本 [2]
  • ダニ・受動喫煙対策を並行 [2]

Q5.「咳止めの薬は必要ですか?」

——市販の咳止めシロップを飲ませてもよいですか?

米国小児科学会(AAP)とFDAは、4歳未満のOTC(市販)咳止め・風邪薬の使用を推奨していません [4]。有害事象のリスクが便益を上回るためです。日本小児呼吸器学会も、幼児の咳に対する咳止めの有効性は限定的であるとし、原因治療(喘息なら抗炎症薬、後鼻漏なら鼻処置等)を優先すべきとしています [1]

咳止めの注意点 [4]
4歳未満は市販の咳止め・風邪薬NG
4〜6歳でも医師の指示下で限定使用
コデイン含有薬は12歳未満禁忌(国内2019年〜)
蜂蜜は1歳以上で効果報告あり(乳児ボツリヌス症のため1歳未満禁)
咳への家庭対応 [1]
加湿
こまめな水分
鼻吸引(後鼻漏対策)
上体を少し起こして眠る
蜂蜜(1歳以上、就寝前小さじ1/2)
受診の目安 [1]
咳が4週間以上続く
夜間・早朝に悪化
呼吸が苦しそう・喘鳴あり
体重が減ってきた
熱が再燃

ポイント

  • 4歳未満は市販咳止めNG [4]
  • 原因治療が優先 [1]
  • 1歳以上なら蜂蜜が選択肢 [4]

Q6.「百日咳の可能性はありますか?」

——咳き込んで顔が真っ赤になります。百日咳ですか?

百日咳は『スタッカート(連続した短い咳)+吸気時のwhoop(ヒューという笛音)』が特徴で、咳後の嘔吐・チアノーゼを伴うことがあります [5]。近年は予防接種後の成人・年長児からの感染で乳幼児の重症例が報告されており注意が必要です [5]。4種混合ワクチン(DPT-IPV)で予防されますが、抗体は経年的に減衰します [5]。長引く咳で疑う場合は培養・PCR・抗体検査で診断します [5]

百日咳の臨床経過 [5]
カタル期(1〜2週):普通の風邪様
痙咳期(2〜6週):特徴的な咳発作
回復期(2〜3週):徐々に軽快
典型的な発作の特徴 [5]
連続した短い咳(スタッカート)
吸気時のwhoop
咳き込み後の嘔吐
顔面紅潮・チアノーゼ
夜間に多い
診断と治療 [5]
培養・PCR(発症早期が感度高い)
抗体検査(急性期・回復期のペア血清)
マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン等)
家族内接触者への予防内服

ポイント

  • スタッカート+whoopが典型 [5]
  • 乳児は重症化リスク高 [5]
  • 長引く咳では鑑別に入れる [5]

今号のまとめ

  • 咳は3週未満が急性、3〜8週が遷延性、8週以上が慢性 [1]
  • 感染後咳嗽は3〜8週で自然軽快、家庭ケアで対応 [3]
  • 夜間・早朝の咳、呼気性喘鳴、反復する喘鳴は喘息を示唆 [2]
  • 喘息長期管理の基本は吸入ステロイド+環境整備 [2]
  • 4歳未満は市販咳止めNG、原因治療を優先 [4]
  • 百日咳は乳幼児で重症化、長引く咳では必ず鑑別に [5]

あわせて読みたい

  • Vol.178「小児喘息の管理」
  • Vol.245「RSウイルス感染症」
  • Vol.312「クループ症候群」

ご質問・ご感想

「咳止めシロップは使えるか」「喘息の薬をいつまで続けるか」など、ご質問がございましたらお気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

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