愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.238
「朝起きられません」、起立性調節障害(OD)
今号のポイント
- 2さぼりではなく自律神経の病気。中学生の約10%に見られる
- 4新起立試験で診断。水分・塩分の摂取と生活リズムが治療の基本
- 6多くは成長とともに改善。焦らず部分参加を目指す
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
外来で「朝どうしても起きられないんです」「学校に行きたいのに体が動かない」というご相談が、思春期のお子さんで本当に増えています。保護者の方が「さぼっているだけでは」と悩み、お子さん自身も「なんで起きられないんだろう」と自分を責めてしまう。この悪循環をまず断つところから始めたい病気が、起立性調節障害(OD)です。
今号では、ODの正体と、診断・治療・学校との付き合い方をまとめてお伝えします。
Q1.「起立性調節障害とは?」
——朝どうしても起きられません。さぼりですか?
さぼりではないです。自律神経がうまく働かなくて、立ち上がった時に脳への血流が保てなくなる病気です [1]。日本小児心身医学会のガイドラインでも、きちんと病気として位置づけられていますよ。軽症例も含めると中学生の約10%に見られると報告されています [1]
——10%!そんなに多いんですね
はい。クラスに2〜3人はいる計算になります。午前中に症状が強くて午後から回復する、というのが典型的なパターンです
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 中学生の約10% |
| 好発年齢 | 10-16歳 |
| 男女比 | 女児にやや多い |
| 原因 | 自律神経の調節障害 |
| 特徴 | 午前中に症状が強く、午後から回復 |
| 主な症状 |
|---|
| 朝起きられない |
| 立ちくらみ・めまい |
| 頭痛 |
| 倦怠感 |
| 動悸 |
| 腹痛・食欲不振 |
ポイント
- さぼりではなく病気
- 中学生の約10%に見られる
- 午前中に症状が強い
Q2.「診断はどうしますか?」
——検査で分かりますか?
新起立試験(ODテスト)で診断します [2]。横になった状態で血圧と脈を測った後、立ち上がって10分間の血圧・脈拍の変化を見る検査です。貧血や甲状腺の病気、不整脈を除外するために血液検査や心電図も行います
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 新起立試験 | 横になった状態から立ち上がった時の血圧・脈拍の変化を測定 |
| 血液検査 | 貧血や甲状腺機能の除外 |
| 心電図 | 不整脈の除外 |
| ODの4つのサブタイプ |
|---|
| 起立直後性低血圧:立ち上がった直後に血圧低下 |
| 体位性頻脈症候群:立位で脈拍が著しく増加 |
| 血管迷走神経性失神:立位で失神 |
| 遷延性起立性低血圧:立位で徐々に血圧低下 |
ポイント
- 新起立試験で診断
- 4つのサブタイプがある
- 他の疾患の除外も必要
Q3.「治療はどうしますか?」
——どうすれば改善しますか?
薬より先に、生活指導が治療の基本です [3]。水分を1日1.5〜2L、塩分も普段よりやや多め(1日10g程度)に。立ち上がるときはゆっくり、下を向いたまま数秒頭を下げてから体を起こすと、ふらつきにくくなります。それでも改善しない場合に、ミドドリンなどの昇圧剤を使うことがあります
| 生活指導 | 内容 |
|---|---|
| 水分摂取 | 1日1.5-2L |
| 塩分摂取 | やや多めに(1日10g程度) |
| 急に立たない | ゆっくり起き上がる |
| 下肢の運動 | ふくらはぎのポンプ作用を活用 |
| 弾性ストッキング | 下肢への血液貯留を防ぐ |
| 規則正しい生活 | 就寝・起床時間を一定に |
| 薬物療法 |
|---|
| ミドドリン(昇圧剤):起立直後性低血圧に |
| プロプラノロール(β遮断薬):体位性頻脈に |
| 生活指導で改善しない場合に使用 |
ポイント
- 水分と塩分の摂取が基本
- ゆっくり起き上がる
- 薬物療法は補助的
Q4.「学校にはどうすればいいですか?」
——学校に行けない日が増えています
ODは不登校の原因の一つとされていて、学校との連携が非常に大事です [4]。診断書を書いて、午後からの登校や保健室利用を配慮してもらいましょう。『全欠か登校か』の二択ではなく、『午後からでも行けた日は行く』という部分参加を目指すのがコツです
| 学校への対応 | 内容 |
|---|---|
| 診断書 | ODの診断と配慮依頼 |
| 遅刻の許容 | 午後からの登校を認める |
| 保健室の利用 | 体調不良時の休憩場所 |
| 体育の配慮 | 個別に判断 |
| 担任との連携 | 定期的な情報共有 |
「午後からでも登校できる日は登校させることが、社会参加と回復につながります。全欠よりも部分参加を目指しましょう。」
ポイント
- 学校との連携が重要
- 午後からの登校も有意義
- 部分参加を目指す
Q5.「いつ治りますか?」
——いつまで続きますか?
多くは成長とともに改善しますが、時間はかかります [5]。軽症なら数ヶ月、中等症で1〜2年、重症だと数年。ただ、成人までにほとんどが改善するというのがご家族にお伝えしたい一番のポイントです
| 経過 | 詳細 |
|---|---|
| 軽症 | 生活指導で数か月で改善 |
| 中等症 | 1-2年で改善 |
| 重症 | 数年かかることがある |
| 予後 | 多くは成人までに改善 |
「保護者の方も不安が大きいと思いますが、ODは必ず改善する病気です。焦らず、お子さんを支えてあげてください。」
ポイント
- 多くは成長とともに改善
- 回復には時間がかかる
- 焦らず支えることが大切
今号のまとめ
- 起立性調節障害はさぼりではなく病気
- 中学生の約10%に見られる
- 水分と塩分の摂取、ゆっくり起き上がるが基本
- 学校との連携と部分参加が重要
- 多くは成長とともに改善する
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- Vol.237「不整脈」
- Vol.134「発達障害と不登校」
- Vol.259「子どもの睡眠の重要性」
ご質問・ご感想
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