愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.236
「心臓に穴がありますと言われました」、先天性心疾患
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
先天性心疾患は、生まれつき心臓の構造に異常がある状態で、約100人に1人の頻度で見られます。最も多いのは心室中隔欠損症(VSD)です。軽症のものは自然閉鎖するものから、早期手術が必要なものまで様々です。今回は、先天性心疾患の概要をお伝えします。
Q1.「先天性心疾患とは?」
——心臓に穴があると言われましたが
先天性心疾患は、生まれつきの心臓の構造異常です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 頻度 | 約100人に1人(約1%) |
| 最多 | 心室中隔欠損症(VSD)約30% |
| 原因 | 多因子遺伝が多い(多くは原因不明) |
| 主な先天性心疾患 |
|---|
| 心室中隔欠損症(VSD):心室の壁に穴 |
| 心房中隔欠損症(ASD):心房の壁に穴 |
| 動脈管開存症(PDA):出生後に閉じるべき血管が開存 |
| ファロー四徴症:チアノーゼを伴う複雑心疾患 |
| 大動脈縮窄症:大動脈の狭窄 |
ポイント
- 約100人に1人に見られる
- VSDが最も多い
- 軽症から重症まで様々
Q2.「心室中隔欠損症は治りますか?」
——穴は自然に閉じますか?
小さなVSDの約50-70%は自然閉鎖します [2]。
| VSDの大きさ | 経過 |
|---|---|
| 小さい穴 | 約50-70%が自然閉鎖。経過観察 |
| 中等度の穴 | 心不全の有無で判断 |
| 大きい穴 | 心不全を起こす。手術が必要 |
| 心不全の症状 |
|---|
| 哺乳時の息切れ・汗 |
| 体重増加不良 |
| 多呼吸 |
| 肝臓の腫大 |
ポイント
- 小さなVSDの多くは自然閉鎖
- 心不全がなければ経過観察
- 心不全があれば手術を検討
Q3.「手術は必要ですか?」
——手術しないとだめですか?
疾患の種類と重症度によります [3]。
| 手術が必要な場合 | 詳細 |
|---|---|
| 心不全がある | 薬で改善しない場合 |
| チアノーゼ | 酸素が足りない場合 |
| 大きな穴 | 肺高血圧のリスク |
| 複雑心疾患 | ファロー四徴症等 |
| 手術の進歩 |
|---|
| 単純心奇形(VSD・ASD・PDAなど)の手術成績は良好 |
| カテーテル治療(開胸不要)も増加 |
| 早期手術で正常な発達が期待できる |
「単純な心奇形であれば手術成績は非常に良好で、多くのお子さんが通常の生活を送っています。ただし疾患ごとに成績は異なるため、主治医から個別の説明を受けてください。」
ポイント
- 手術は必要な場合だけ
- 単純心奇形の成績は良好(疾患で差がある)
- カテーテル治療という選択肢もある
Q4.「日常生活の注意点は?」
——運動制限はありますか?
疾患と状態によって異なります [4]。
| 状態 | 運動制限 |
|---|---|
| 小さなVSD・ASD | 制限なし |
| 術後(完全修復後) | 多くは制限なし |
| 複雑心疾患 | 個別に判断 |
| 不整脈がある場合 | 主治医と相談 |
「小さな穴や手術後に良好な経過のお子さんは、スポーツを含む通常の生活が可能です。」
ポイント
- 軽症や術後良好なら制限なし
- 個々の状態で判断
- 主治医と相談
Q5.「感染性心内膜炎の予防は?」
——歯科治療前に抗菌薬が必要と聞きました
一部の先天性心疾患では歯科処置前の抗菌薬予防投与が推奨されます [5]。
| 予防投与が必要な場合 | 詳細 |
|---|---|
| 人工弁 | 弁置換後 |
| 未修復のチアノーゼ型心疾患 | ファロー四徴症等 |
| 術後6か月以内 | 人工材料使用の場合 |
| 心内膜炎の既往 | 再発予防 |
「小さなVSDや術後に完全修復された場合は、予防投与が不要なことが多いです。主治医に確認してください。」
ポイント
- 一部の心疾患で歯科前に抗菌薬が必要
- 軽症のVSDでは不要なことが多い
- 主治医に確認する
今号のまとめ
- 先天性心疾患は約100人に1人。VSDが最多
- 小さなVSDの多くは自然閉鎖する
- 単純心奇形の手術成績は良好(疾患で差がある)
- 軽症や術後良好なら通常の生活が可能
- 歯科処置前の抗菌薬は主治医に確認
あわせて読みたい
- Vol.234「心雑音」
- Vol.235「川崎病」
- Vol.237「不整脈」
ご質問・ご感想
「心臓に穴があると言われました」「手術が必要か心配です」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。