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MINATON
保育園に預ける罪悪感
Vol.365メンタルヘルス

保育園に預ける罪悪感

保育園への罪悪感、3歳児神話の検証、預けることのメリットをエビデンスで解説

メンタルヘルス0〜6ヶ月・6〜12ヶ月・1〜3歳5
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 5·Q&A 4問収録

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この記事のポイント

  • 預けるときに泣くのは愛着が健全に形成されている証拠
  • 「3歳児神話」は科学的根拠に乏しい。愛着は時間の質で決まる
  • 保育園利用は母親の回復と子どもの社会性発達の両方にメリットがある

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.365

保育園に預ける罪悪感

慣らし保育の初日。泣き叫ぶ子どもを保育士に預けて、園の外で自分も泣いた。

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「こんなに小さいのに預けるなんて」「もっと一緒にいてあげなくていいのかな」。外来でもよく聞く声です。保育園に預ける罪悪感は、本当に多くのお母さんを苦しめています。今回はその罪悪感を、エビデンスの力で少しだけ軽くしたいなと思って書きました。

ギャン泣きは「異常」じゃない。愛着が育っている証拠です

預けるときに泣く姿を見るのは、本当につらいですよね。でもあの泣き方は、発達的にはむしろ正常な反応なんです。

生後8か月くらいから2歳ごろまで、親と離れるときに泣くのは「分離不安」という発達段階の現象で、愛着が健全に育っている証拠とされています [1]。多くの保育園では泣くのは預けてから5〜15分くらいで、そのあとはふつうに遊びはじめる子がほとんどです。慣らし保育の1〜2週間は適応の期間で、たいてい1〜2か月で保育園の環境にも馴染んでいきます。

「3歳までは母親がそばに」。それ、科学的根拠はありません

「3歳までは母親がそばにいるべき」と言われた経験のある方、多いと思います。いわゆる「3歳児神話」ですが、これは科学的根拠が乏しい主張です。

1998年の厚生白書でも「三歳児神話には少なくとも合理的な根拠は認められない」と明記されています [3]。もともとはボウルビィの愛着理論が誤って解釈されて広まったものです。ボウルビィが言ったのは「安定した愛着対象が必要」であって、「それが母親でなければならない」とは一度も述べていません。愛着の相手は父親でも祖父母でも保育士でも、複数いていいんです [4]。

NICHD早期保育研究という、1,000人以上を長期に追跡した研究では、保育園を利用すること自体が子どもの認知発達や社会性に悪影響を及ぼすことはないと結論されています [2]。むしろ質の高い保育環境は、言葉の発達を後押しすると報告されています。

💡義母にどう伝えるか

正面から否定するのではなく「こういう研究もあるみたいです」と柔らかく伝えるのもひとつの方法です。

愛着は「一緒にいる時間の長さ」じゃなく「質」で決まります

預けることで子どもとの絆が弱くなるんじゃないか。そう心配する気持ちは、よくわかります。ただ愛着は、「どれだけ長くいたか」ではなく「いっしょにいた時間の質」で決まります。

24時間一緒にいても、ヘトヘトで子どもの呼びかけに応えられない状態より、保育園から帰ってきてからの2〜3時間を穏やかに過ごすほうが、愛着の質はむしろ高くなりえます [4]。お迎えのあとの30分を「特別な時間」にしてみてください。スマホを置いて、目を合わせて、ゆっくり話す。それで十分です。

預けることで得られるもの、数えてみてください

お母さん側で言えば、心身を回復させる時間、就労による経済的な安定、社会とのつながり、育児以外のアイデンティティ。子どもにとっても、同年齢の子との交流、集団生活のルール、多様な遊び、家庭にはいないタイプの大人との関係。一つひとつ並べてみると、けっこう多いです。

お母さんが働いていることと、子どもの情緒的な問題の間には関連がないというメタ分析もあります [5]。

コンコン先生
🏥

おかもん先生より

預けることで失うものを数えるより、預けることで得られるもののほうにも目を向けてみてください。あなたが健康で穏やかでいられることが、子どもにとって一番のプレゼントです。

今号のまとめ

  • 預けるときに泣くのは愛着が健全に形成されている証拠
  • 質の高い保育園は子どもの発達に悪影響を与えない
  • 「3歳児神話」は科学的根拠に乏しい
  • 愛着は「時間の長さ」ではなく「時間の質」で決まる
  • 保育園利用は母親にも子どもにもメリットがある

あわせて読みたい

  • Vol.357「育休復帰の不安」
  • Vol.350「赤ちゃんとの愛着形成」

ご質問・ご感想

「慣らし保育のときこうだった」「預けてよかったと思うこと」など、体験談やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

愛育病院 小児科 おかもん先生

本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまやお母さまの症状についてはかかりつけの産婦人科・小児科医にご相談ください。

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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