愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.175
「水いぼは取るべき?」、伝染性軟属腫の最新治療
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
水いぼ(伝染性軟属腫)は小さな光沢のある丘疹で、幼児〜学童に多い皮膚感染症です。「取るべき?放っておいていい?」、外来で最も多い質問の一つです。今回は最新の考え方と治療の選び方をまとめます。
Q1.「水いぼとは?」
——子どもの体に小さなブツブツがたくさんできました
水いぼ(伝染性軟属腫)は、伝染性軟属腫ウイルス(MCV)による皮膚感染症です [1]。
| 特徴 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | 伝染性軟属腫ウイルス(ポックスウイルス科) |
| 好発年齢 | 1-10歳(特に2-5歳) |
| 見た目 | 1-5mm、半球形、中央にくぼみ、光沢がある |
| 好発部位 | 体幹、腋窩、四肢、顔 |
| 感染経路 | 直接接触、タオル・ビート板の共有 |
| 自然経過 | 6-12か月で自然治癒(長引く場合は2-3年) |
「水いぼは自然に治る病気です。ただし、自然治癒までの期間は個人差が大きく、数が増えてから減っていくパターンが一般的です。」
ポイント
- ウイルスによる皮膚感染症
- 自然に治るが6-12か月かかる
- 数が増えてから減るパターンが一般的
Q2.「水いぼは取るべきですか?」
——小児科の先生と皮膚科の先生で意見が違います
これは医師の間でも意見が分かれるテーマです [2]。
理由
- 経過観察
- 自然治癒する。摘除は痛い
- 積極的摘除
- 感染拡大の予防、プール参加
学会の見解
- 経過観察
- 日本小児皮膚科学会は原則経過観察を推奨
- 積極的摘除
- 日本臨床皮膚科医会はプール前の対応を推奨
| 治療を検討する状況 |
|---|
| 数が急速に増えている |
| アトピー性皮膚炎があり広がりやすい |
| 子ども自身が気にしている |
| プール等の集団活動で制限がある |
「日本小児科学会と日本小児皮膚科学会は、水いぼがあってもプールに入って構わないという見解を出しています。タオルやビート板の共有を避ければ十分です。」
ポイント
- 基本は経過観察で自然治癒を待つ
- 数が増えている・アトピー合併の場合は治療検討
- プールは水いぼがあっても入ってOK
Q3.「水いぼの治療法は?」
——取る場合、どんな方法がありますか?
いくつかの治療法があります [3]。
| 治療法 | 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ピンセット摘除 | 専用ピンセットで一つずつ取る | 確実、その場で除去 | 痛い、子どもが泣く |
| 硝酸銀塗布 | 硝酸銀を水いぼに塗る | 痛みが少ない | 色素沈着の可能性 |
| 液体窒素 | 冷凍凝固 | 通院で可能 | 痛い、水疱の可能性 |
| 外用薬(銀イオン配合) | 自宅で塗布 | 痛くない | 効果発現に時間がかかる |
| イソジン消毒 | 自宅でイソジンを塗る | 簡便 | エビデンスは限定的 |
「ピンセット摘除の場合は、局所麻酔テープ(ペンレステープ)を事前に貼ることで、痛みをかなり軽減できます。摘除の1時間前に貼ってきてください。」
ポイント
- 複数の治療法がある
- 麻酔テープで痛みを軽減できる
- 痛くない方法も選択可能
Q4.「プールに入ってもいいですか?」
——保育園でプールに入れないと言われました
水いぼがあってもプールに入って構いません [4]。
| 学会の見解 | 内容 |
|---|---|
| 日本小児科学会 | 水いぼを理由にプールを禁止する必要はない |
| 日本小児皮膚科学会 | プールの水では感染しない。直接接触を避ければよい |
| 文部科学省 | 水いぼを理由としたプール禁止は不適切 |
| プールでの注意点 |
|---|
| タオル、ビート板、浮き輪の共有を避ける |
| プール後はシャワーを浴びる |
| 水いぼが露出する場合は防水テープで覆っても可 |
「園や学校がプール参加を制限する場合は、これらの学会見解を伝えてください。かかりつけ医から意見書を書くこともできます。」
ポイント
- 水いぼでもプールはOK(学会見解)
- タオル等の共有を避ければ十分
- 園が制限する場合は医師の意見書で対応
Q5.「水いぼの予防法は?」
——兄弟にうつらないようにするにはどうすればいいですか?
完全な予防は難しいですが、以下の対策が有効です [5]。
| 予防策 | 内容 |
|---|---|
| タオルを分ける | バスタオル、フェイスタオルを共有しない |
| 入浴 | 兄弟で一緒に入る場合、水いぼを直接触らない |
| 保湿 | 肌のバリア機能を維持(乾燥肌は感染しやすい) |
| 掻かない | 掻き壊すと自己接種で広がる |
| 衣服 | 水いぼが擦れる場合は覆う |
「アトピー性皮膚炎のあるお子さんは水いぼが広がりやすいです。スキンケアで肌の状態を良く保つことが、最も効果的な予防策です。」
ポイント
- タオルの共有を避ける
- 保湿でバリア機能を維持
- アトピーの管理が予防に重要
今号のまとめ
- 水いぼは自然に治るウイルス感染症です
- 基本は経過観察。治療が必要な場合は複数の選択肢あり
- プールは入って構いません(学会見解)
- 麻酔テープで摘除時の痛みを軽減できます
- 保湿によるスキンケアが予防に重要
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ご質問・ご感想
「水いぼの対応で迷っています」「プールの件で園と相談しました」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
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