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「赤ちゃんにB型肝炎ワクチンを打つ理由」、0歳から始める肝臓がん予防
Vol.146予防接種

「赤ちゃんにB型肝炎ワクチンを打つ理由」、0歳から始める肝臓がん予防

B型肝炎ウイルス(HBV)は乳幼児期の感染ほどキャリア化(持続感染)しやすい

予防接種0〜6ヶ月・6〜12ヶ月7
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 7·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • B型肝炎ウイルス(HBV)は乳幼児期の感染ほどキャリア化(持続感染)しやすい
  • 2016年10月から0歳児全員への定期接種が開始。生後2ヶ月から3回接種
  • 母子感染予防プログラムとユニバーサルワクチネーションの2つの対策が柱

愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.146

「赤ちゃんにB型肝炎ワクチンを打つ理由」、0歳から始める肝臓がん予防

今号のポイント

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    B型肝炎ウイルス(HBV)は乳幼児期の感染ほどキャリア化(持続感染)しやすい
  2. 4
    2016年10月から0歳児全員への定期接種が開始。生後2ヶ月から3回接種
  3. 6
    母子感染予防プログラムとユニバーサルワクチネーションの2つの対策が柱

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「なぜ赤ちゃんにB型肝炎のワクチンを打つんですか?」「肝炎って大人の病気では?」、こういうご質問をよくいただきます。

結論から言うと、B型肝炎は小さい子どもが感染すると一番やっかいなウイルスです [1]。今回はその理由と、現在のワクチン接種スケジュールを整理します。

Q1.「B型肝炎ってどんな病気ですか?なぜ赤ちゃんに関係があるのですか?」

——B型肝炎って、お酒を飲む大人の病気というイメージがあります

それはよくある誤解です。B型肝炎ウイルス(HBV)は血液・体液を介して感染するウイルスで、お酒とは関係ありません [1]。そして最も重要なのは、感染年齢が若いほどキャリア(持続感染者)になりやすいという点です [1][2]

感染年齢とキャリア化率 [1][2]:

感染年齢キャリア化率
新生児(母子感染)約90%
1〜4歳約20〜50%
5歳以上・成人約5%未満

つまり、赤ちゃんの時に感染するのが最も危険なのです [2]。キャリアになると、将来的に肝硬変や肝臓がんを発症するリスクがあります

感染経路 [1]:

経路説明
母子感染(垂直感染)分娩時の血液接触が主。最大のリスク
水平感染家族間の血液・体液接触(傷口、歯ブラシ、かみそり共有)
性行為青年期以降のリスク

ポイント

  • 感染年齢が若いほどキャリア化しやすい [1][2]
  • 新生児期の感染は約90%がキャリア化 [2]
  • キャリアは将来肝硬変・肝臓がんのリスクあり [1]

Q2.「B型肝炎ワクチンの接種スケジュールを教えてください」

——いつ打てばいいですか?何回必要ですか?

2016年10月から、0歳児全員を対象とした定期接種(ユニバーサルワクチネーション)が始まりました [3]

定期接種スケジュール [3]:

接種時期

1回目
生後2ヶ月
2回目
生後3ヶ月
3回目
生後7〜8ヶ月

標準的な月齢

1回目
ヒブ・肺炎球菌と同時接種
2回目
1回目の4週間後
3回目
1回目の20〜24週後

3回目は1回目から20〜24週後です。2回目から近い時期ではなく、しっかり間隔を空けるのがポイントです [3]。3回接種で95%以上の方が十分な抗体を獲得します [4]

——1歳を過ぎてしまったのですが、まだ打てますか?

定期接種の対象は1歳の誕生日の前日までです。それを過ぎると任意接種(自費)になりますが、未接種の場合はいつでも接種可能ですので、ぜひご相談ください [3]

ポイント

  • 生後2ヶ月から3回接種(0, 1, 6ヶ月スケジュール) [3]
  • 3回目は1回目の20〜24週後(間隔に注意) [3]
  • 95%以上が十分な抗体を獲得 [4]

Q3.「母親がB型肝炎キャリアの場合はどうなりますか?」

——妊婦健診でB型肝炎キャリアと言われました。赤ちゃんは大丈夫ですか?

母子感染予防プログラム(HBIG+ワクチン)により、95%以上の確率で赤ちゃんへの感染を防ぐことができます [5]

母子感染予防スケジュール [5]:

時期対応
出生直後(12時間以内)HBIG(抗HBs人免疫グロブリン)+HBワクチン1回目
生後1ヶ月HBワクチン2回目
生後6ヶ月HBワクチン3回目
生後9〜12ヶ月HBs抗原・HBs抗体の検査(感染・免疫の確認)

出生直後のHBIG投与が非常に重要です [5]。分娩施設と事前に打ち合わせを行い、出生後速やかに投与できる体制を整えています。母親がキャリアでも、適切な予防措置を取れば赤ちゃんはほぼ確実に守れます

ポイント

  • 出生後12時間以内のHBIG+ワクチンが最重要 [5]
  • 適切な予防で95%以上の母子感染を防げる [5]
  • 生後9〜12ヶ月で効果を確認する検査が必要 [5]

Q4.「ワクチンの効果はどのくらい持続しますか?追加接種は必要ですか?」

——赤ちゃんの時に打った効果は大人になっても持ちますか?

長期的な免疫記憶は20年以上持続することが確認されています [6]

効果の持続性 [6][7]:

項目内容
抗体(HBs抗体)数年〜十数年で低下することがある
免疫記憶抗体が低下しても免疫記憶は20年以上持続 [6]
追加接種健常者には原則不要(免疫記憶があるため)
例外医療従事者、透析患者などハイリスク者は抗体価確認を推奨 [7]

血液検査で抗体が検出されなくても、HBVに曝露されれば免疫記憶により速やかに抗体が産生されます [6]。そのため、一般のお子さんへの追加接種は原則不要です

ポイント

  • 免疫記憶は20年以上持続 [6]
  • 健常者への追加接種は原則不要 [6]
  • 医療従事者などハイリスク者は抗体価確認を推奨 [7]

Q5.「B型肝炎ワクチンの副反応について教えてください」

——副反応が心配です

B型肝炎ワクチンは最も安全なワクチンの一つです [4]。1982年の導入以来、世界中で10億回以上接種されています

主な副反応 [4]:

副反応頻度
接種部位の痛み・赤み・腫れ約10〜30%
発熱(37.5度以上)約1〜6%
倦怠感・頭痛約1〜5%
重篤な副反応(アナフィラキシー等)極めてまれ(100万回に1回程度)

ほとんどは接種部位の局所反応で、1〜2日で自然に改善します [4]。B型肝炎ワクチンは世界で最も多く接種されているワクチンの一つであり、その安全性は十分に確認されています

ポイント

  • 世界で10億回以上の接種実績 [4]
  • 副反応はほとんどが軽い局所反応 [4]
  • 最も安全なワクチンの一つ [4]

まとめ

  • B型肝炎は赤ちゃんの時に感染するほどキャリア化しやすい [1][2]
  • 2016年10月から0歳児全員への定期接種。生後2ヶ月から3回 [3]
  • 母子感染予防プログラムで95%以上の感染を防げる [5]
  • ワクチンの免疫記憶は20年以上持続。追加接種は原則不要 [6]
  • 世界で最も安全なワクチンの一つ。10億回以上の接種実績 [4]

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