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ケンケン咳とヒューヒュー呼吸、クループ症候群を知っておく
Vol.53感染症

ケンケン咳とヒューヒュー呼吸、クループ症候群を知っておく

クループ症候群の症状・夜間対応・受診の目安

感染症0〜6ヶ月・6〜12ヶ月・1〜3歳8
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 10·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • クループはケンケンと犬が吠えるような咳と吸気時の喘鳴が特徴的
  • 加湿した空気や夜間の冷気で症状が和らぐことがある
  • 呼吸困難が強い・唇が青い・ぐったりしている場合はすぐに救急受診

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.53

「夜中に犬の遠吠えのような咳」、クループの家庭での対応3ステップ

今号のポイント

  1. 2
    クループは喉頭(のどの奥の声帯の周り)が腫れて起こる。夜間に突然悪化する
  2. 4
    「ケンケン」「オウオウ」という犬吠様咳嗽と、息を吸う時の「ヒューヒュー」が特徴
  3. 6
    軽症なら加湿+安静で改善。呼吸が苦しそうなら迷わず受診

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

「夜中に突然、犬の遠吠えみたいな咳が出た」「息を吸うとヒューヒュー鳴る」。クループ(急性喉頭炎)は夜中に急に発症するので、初めて見ると本当に驚きます。今回は家庭での対応と受診の目安をお伝えします。

Q1.「クループとはどんな病気ですか?」

——夜中に子どもが『ケンケン』という変な咳をしていて驚きました

クループ(急性喉頭気管気管支炎)は、喉頭(声帯の周り)がウイルス感染で腫れて起こる病気です [1]。子どもの気道(空気の通り道)は大人より細いため、少しの腫れでも呼吸に影響が出やすいのです

クループの基本情報 [1][2]:

項目内容
原因パラインフルエンザウイルスが最多(約75%)[1]
好発年齢6ヶ月〜3歳(ピークは1〜2歳)[2]
好発時期秋〜冬に多い [1]
特徴夜間に突然悪化する [2]

子どもの声門下(声帯の下)は気道の中で最も細い部分です。ここが1mmでも腫れると、気道面積が大幅に減少します [1]。大人なら症状が出ないレベルの腫れでも、子どもでは『ケンケン』という特徴的な咳が出るのはこのためです

ポイント

  • クループは声帯の周りの腫れで起こる [1]
  • 6ヶ月〜3歳に多く、秋〜冬が流行期 [1][2]
  • 夜間に突然悪化するのが特徴 [2]

Q2.「クループの症状は?どう見分ければいいですか?」

——普通の風邪の咳とどう違いますか?

クループの咳は一度聞くと忘れないほど特徴的です [2]

クループの3大症状 [2][3]:

  1. 2
    犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう): 「ケンケン」「オウオウ」という、犬の遠吠えやオットセイの鳴き声のような咳 [2]
  2. 4
    吸気性喘鳴(きゅうきせいぜんめい): 息を吸う時に「ヒューヒュー」「キーキー」という音がする [3]
  3. 6
    嗄声(させい): 声がかすれる [2]

典型的な経過 [2]:

  • 最初は普通の風邪症状(鼻水、軽い咳、微熱)
  • 夕方〜夜間に突然、犬吠様咳嗽が始まる
  • 夜中に最も悪化し、朝になると改善することが多い
  • 2〜3日で自然に軽快するケースがほとんど

夜間に悪化する理由は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の日内変動と、夜間の冷たく乾燥した空気が関係しています [3]

ポイント

  • 犬吠様咳嗽・吸気性喘鳴・嗄声が3大症状 [2][3]
  • 夕方〜夜間に悪化し、朝に改善するパターン [2]
  • 多くは2〜3日で自然に軽快する [2]

Q3.「家庭でできる対応は?」

——夜中にクループの咳が出たら、どうすればいいですか?

家庭での対応3ステップをお伝えします [3][4]

ステップ1: お子さんを落ち着かせる

  • 泣くと気道が狭くなり、症状が悪化します [4]
  • 抱っこして安心させる。座位(上体を起こした姿勢)が呼吸しやすい
  • 親が慌てると子どもも不安になるので、まず保護者が落ち着く

ステップ2: 涼しく湿った空気を吸わせる

  • 浴室で温かいシャワーを出して蒸気を吸わせる方法が昔から行われてきました [4]
  • 最近の研究では蒸気吸入の効果は明確ではないとの報告もありますが [5]、外の冷たい空気を吸わせると楽になるケースが多いです [4]
  • 夜間であれば窓を開けて冷たい空気を吸わせてみる

ステップ3: 水分補給

  • 少量ずつ、こまめに水分をとらせる
  • 喉が腫れているため飲み込みにくいことがある

多くのクループは軽症で、この3ステップで朝までに改善します [4]。ただし、改善しない場合や悪化する場合は受診してください

ポイント

  • まずお子さん(と保護者)を落ち着かせる [4]
  • 冷たい外気を吸わせると楽になることが多い [4]
  • 軽症なら朝までに改善する [4]

Q4.「すぐに受診すべき危険サインは?」

——どんな時に救急に行くべきですか?

以下のサインがあればすぐに受診してください [3][6]

危険サイン [3][6]:

サイン説明
安静時の吸気性喘鳴泣いていなくても息を吸う時にヒューヒュー聞こえる
陥没呼吸息を吸う時に肋骨の間や胸の上がへこむ [6]
チアノーゼ唇や爪が青白くなる
よだれが多い飲み込めずによだれを垂らす
前かがみ姿勢呼吸が苦しくて前かがみになる
意識がぼんやりぐったりして反応が悪い
呼吸回数の増加安静時でも呼吸が速い

特に安静時にもヒューヒュー音が聞こえる場合は中等症以上のサインです [3]。泣いている時だけの喘鳴は軽症のことが多いですが、泣いていない時にも聞こえるなら迷わず受診してください

ポイント

  • 安静時の吸気性喘鳴は中等症以上のサイン [3]
  • 陥没呼吸・チアノーゼ・意識低下は緊急 [6]
  • 判断に迷ったら#8000に電話 [6]

Q5.「病院ではどんな治療をするんですか?」

——受診したらどんな治療をしますか?

重症度に応じた治療を行います [3][7]

症状

軽症
犬吠様咳嗽のみ。安静時の喘鳴なし
中等症
安静時にも喘鳴あり。軽い陥没呼吸
重症
著明な陥没呼吸・チアノーゼ

治療

軽症
経過観察。デキサメタゾン内服 [7]
中等症
デキサメタゾン内服+ボスミン吸入 [7]
重症
入院。繰り返しの吸入+酸素投与

デキサメタゾン(ステロイド)の内服は、クループ治療で最もエビデンスが確立されています [7]。1回0.6mg/kg(最大16mg)の単回投与が標準的で、2〜3時間で効き始めて24〜48時間持続します [7]。軽症でも投与すると再受診率が下がることが示されています [7]

——クループは繰り返しますか?

約5%の子どもが再発を経験します [2]。繰り返す場合や、典型的でない経過の場合は、気道の構造的な問題がないか精査することがあります。年齢とともに気道が太くなるため、4〜5歳以降はクループになりにくくなります [2]

ポイント

  • デキサメタゾン内服が最も効果的な治療 [7]
  • 中等症以上ではボスミン吸入を追加 [7]
  • 4〜5歳以降は気道が太くなりクループになりにくい [2]

まとめ

  • クループは声帯の周りの腫れで起こる。6ヶ月〜3歳に多い [1][2]
  • 犬吠様咳嗽+吸気性喘鳴+嗄声が特徴。夜間に突然悪化 [2][3]
  • 家庭では落ち着かせる→冷たい空気→水分補給の3ステップ [4]
  • 安静時の喘鳴・陥没呼吸・チアノーゼがあればすぐ受診 [3][6]
  • デキサメタゾン内服が最も効果的な治療 [7]

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