愛育病院 小児科おかもん だより Vol.44
「頭が痛いって言うんですが、大丈夫でしょうか?」、子どもの頭痛、心配なサインと対処法
今号のポイント
- 2子どもの頭痛の90%以上は片頭痛や緊張型頭痛。危険な頭痛は少ない
- 4危険なサイン「突然の激しい頭痛」「嘔吐を繰り返す」「意識がおかしい」
- 6片頭痛は遺伝性。家族歴があれば子どもも起こしやすい
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「頭が痛いって言うんですが、脳の病気じゃないか心配で……」。お子さんが頭痛を訴えると、どうしても不安になりますよね。結論から言うと、子どもの頭痛の90%以上は片頭痛か緊張型頭痛で、命に関わる頭痛はごく少数です [1]。ただし、少数ながら見逃してはいけない頭痛があるのも事実です。
今回は、子どもの頭痛の種類、危険なサイン、家での対処、受診の目安についてまとめます。
Q1.「子どもの頭痛って、どんな種類がありますか?」
——子どもも大人と同じように頭痛になるんですか?
はい。子どもにも頭痛はよくあります。学童期の子どもの約40〜50%が頭痛を経験していると言われています [1]
子どもの頭痛の種類と頻度:
頻度
- 片頭痛 [2]
- 約5〜10%
- 緊張型頭痛 [3]
- 約10〜25%
- 二次性頭痛(病気が原因)[4]
- 約5%
- その他
- 残り
特徴
- 片頭痛 [2]
- ズキンズキンと拍動性、吐き気、光・音に敏感
- 緊張型頭痛 [3]
- 締め付けられるような痛み、肩こり
- 二次性頭痛(病気が原因)[4]
- 髄膜炎、脳腫瘍、副鼻腔炎など
- その他
- 心因性、薬物乱用など
子どもの頭痛の90%以上は片頭痛や緊張型頭痛で、これらは「一次性頭痛」と呼ばれ、脳に異常はありません [1]。ただし、残りの約5%は病気が原因の「二次性頭痛」で、これは見逃してはいけません [4]
一次性頭痛 vs 二次性頭痛:
一次性頭痛
- 原因
- 頭痛そのものが病気
- 代表例
- 片頭痛、緊張型頭痛
- 危険度
- 低い(命に関わらない)[1]
- 治療
- 痛み止め、生活改善
二次性頭痛
- 原因
- 他の病気が原因
- 代表例
- 髄膜炎、脳腫瘍、副鼻腔炎
- 危険度
- 高い(早期発見が重要)[4]
- 治療
- 原因疾患の治療
ポイント
- 学童期の約40〜50%が頭痛を経験 [1]
- 90%以上は片頭痛や緊張型頭痛(一次性頭痛)[1]
- 約5%は病気が原因(二次性頭痛)。見逃し厳禁 [4]
Q2.「危険な頭痛のサインを教えてください」
——どんな頭痛だったら、すぐに病院に行くべきですか?
「赤信号の頭痛」と呼ばれる、すぐに受診すべきサインがあります [5]
危険な頭痛のサイン(すぐに受診!):
緊急度:最高(救急車を呼ぶ)
-
突然の激しい頭痛(「バットで殴られたような」)[5]
- くも膜下出血の可能性
- 今までにない激痛
-
意識がおかしい(呼びかけに反応しない、ぼーっとしている)[5]
- 脳炎、髄膜炎の可能性
- けいれんを伴うことも
-
高熱 + 首が硬い + 頭痛 [6]
- 髄膜炎の可能性
- 首を前に曲げられない(項部硬直)
緊急度:高(当日中に受診)
-
朝起きた時の頭痛が続く [5]
- 脳腫瘍の可能性(頭蓋内圧亢進)
- 嘔吐を伴うことも
-
頭痛が日に日に悪化している [5]
- 脳腫瘍、脳膿瘍の可能性
-
嘔吐を繰り返す(3回以上)[5]
- 頭蓋内圧亢進のサイン
-
頭を打った後の頭痛 [7]
- 頭蓋内出血の可能性
- 24時間以内は特に注意
-
片方の手足に力が入らない、しびれる [5]
- 脳血管障害の可能性
-
物が二重に見える、視野が欠ける [5]
- 脳腫瘍、頭蓋内圧亢進の可能性
特に「突然の激しい頭痛」と「意識障害」は、1分1秒を争う緊急事態です [5]。迷わず救急車を呼んでください
5歳未満の頭痛は要注意:
- 5歳未満の子どもが頭痛を訴えることはまれ [8]
- 訴えた場合は二次性頭痛の可能性が高い [8]
- 必ず医師の診察を
ポイント
- 突然の激しい頭痛、意識障害、高熱+首が硬いは緊急 [5][6]
- 朝の頭痛、日に日に悪化、嘔吐を繰り返すは要受診 [5]
- 5歳未満の頭痛は要注意 [8]
Q3.「片頭痛って、子どもにもあるんですか?」
——私が片頭痛持ちなんですが、子どもも片頭痛になりますか?
はい。片頭痛は遺伝性が強く、親が片頭痛持ちだと子どもも発症しやすいです [2]
片頭痛の特徴:
疫学
- 学童期の5〜10%が片頭痛 [2]
- 思春期前は男女差なし。思春期以降は女児が多い [2]
- 家族歴がある子が70〜90% [2]
症状(小児の片頭痛の特徴)
子どもの片頭痛
- 痛みの場所
- 両側が多い [8]
- 痛みの性質
- ズキンズキン(拍動性)[8]
- 持続時間
- 2〜72時間(短い)[8]
- 嘔吐
- よくある [8]
- 光・音に敏感
- あり [8]
- 動くと悪化
- あり [8]
大人の片頭痛
- 痛みの場所
- 片側が多い
- 痛みの性質
- 同じ
- 持続時間
- 4〜72時間
- 嘔吐
- あることも
- 光・音に敏感
- あり
- 動くと悪化
- あり
子どもの片頭痛の診断基準(簡略版)[8]
以下を満たす頭痛が5回以上ある:
- 持続時間: 2〜72時間
- 以下の2つ以上:
- ズキンズキンする痛み
- 片側または両側
- 動くと悪化
- 中等度〜重度の痛み
- 以下の1つ以上:
- 吐き気または嘔吐
- 光・音に敏感
子どもの片頭痛は大人より持続時間が短く、両側に痛みが出ることが多いのが特徴です [8]。「寝たら治る」のも片頭痛の特徴です
片頭痛の誘因(トリガー):
- 睡眠不足、寝すぎ [10]
- ストレス、疲労 [10]
- 特定の食べ物(チョコレート、チーズ、カフェイン)[10]
- 月経(思春期以降の女児)[10]
- 天候の変化(気圧の変化)[10]
ポイント
- 片頭痛は遺伝性が強い。家族歴がある子が70〜90% [2]
- 子どもの片頭痛は両側、2〜72時間、寝たら治るが特徴 [8]
- 誘因: 睡眠不足、ストレス、特定の食べ物 [10]
Q4.「緊張型頭痛って何ですか? 片頭痛との違いは?」
——「緊張型頭痛」という言葉を聞いたんですが、片頭痛とどう違うんですか?
片頭痛と緊張型頭痛はまったく別物です
片頭痛 vs 緊張型頭痛:
片頭痛 [2][8]
- 痛みの性質
- ズキンズキン(拍動性)
- 痛みの強さ
- 中等度〜強い
- 痛みの場所
- 片側または両側
- 動くと悪化
- する
- 吐き気
- よくある
- 光・音に敏感
- ある
- 持続時間
- 2〜72時間
- 日常生活への影響
- 寝込むこともある
緊張型頭痛 [3]
- 痛みの性質
- 締め付けられる、重い
- 痛みの強さ
- 軽度〜中等度
- 痛みの場所
- 両側(頭全体)
- 動くと悪化
- しない
- 吐き気
- ほとんどない
- 光・音に敏感
- ない
- 持続時間
- 30分〜7日
- 日常生活への影響
- 日常生活は可能
緊張型頭痛の特徴:
- 頭全体が締め付けられるような痛み [3]
- 「ヘルメットをかぶったような」、「鉢巻きで締められるような」
- 肩こり、首のこりを伴うことが多い [3]
- ストレス、姿勢の悪さが原因 [3]
- 動いても悪化しない(むしろ動いたほうが楽になることも)[3]
簡単に言うと、「寝込むほど痛い、吐き気がある」なら片頭痛、「我慢できる痛み、肩こりもある」なら緊張型頭痛と考えてください [2][3]
緊張型頭痛の対処法:
- ストレス軽減 [3]
- 姿勢の改善(勉強、ゲーム、スマホの姿勢に注意)[3]
- 肩・首のストレッチ [3]
- 適度な運動 [3]
- 痛み止め(アセトアミノフェン、イブプロフェン)
ポイント
- 片頭痛: ズキンズキン、吐き気あり、寝込む [2][8]
- 緊張型頭痛: 締め付けられる、肩こりあり、我慢できる [3]
- 緊張型頭痛はストレス、姿勢の悪さが原因 [3]
Q5.「頭痛の時、家で何をすればいいですか?」
——子どもが頭痛を訴えた時、家でできることはありますか?
頭痛のタイプによって対処法が違います
片頭痛の対処法:
すぐできること
-
静かで暗い部屋で休む [2]
- 光・音の刺激を避ける
- カーテンを閉める
-
冷やす [2]
- 額やこめかみを冷たいタオルで冷やす
- 血管を収縮させる
-
寝る [2]
- 片頭痛は睡眠で改善することが多い
- 30分〜2時間の昼寝
-
痛み止め [11]
- アセトアミノフェン、イブプロフェン
- 早めに飲む(痛みが強くなる前)
- 市販薬でOK
やってはいけないこと
- 激しい運動 → 悪化する
- 明るい場所、騒がしい場所 → 刺激になる
- 温める → 血管拡張で悪化
緊張型頭痛の対処法:
すぐできること
-
温める [3]
- 首・肩を温める
- 温かいタオル、ホットパック
-
ストレッチ [3]
- 首を回す、肩を上げ下げ
- 血行を良くする
-
マッサージ [3]
- 首、肩、頭皮を優しくマッサージ
-
リラックス [3]
- 深呼吸、好きな音楽を聴く
- ストレス解消
-
痛み止め
- アセトアミノフェン、イブプロフェン
痛み止めの注意点:
- 月に10〜15日以上使うと、薬物乱用頭痛になる可能性 [12]
- 痛み止めが原因で頭痛が慢性化
- 頻繁に頭痛がある場合は、予防薬を検討
片頭痛は「冷やして暗い部屋で寝る」、緊張型頭痛は「温めてストレッチ」と覚えてください [2][3]。逆のことをすると悪化します
受診が必要な場合:
- 痛み止めが効かない
- 月に4回以上頭痛がある [11]
- 頭痛で学校を休むことがある [11]
- 日常生活に支障がある
- 危険なサインがある(Q2参照)
ポイント
- 片頭痛: 冷やして暗い部屋で寝る [2]
- 緊張型頭痛: 温めてストレッチ [3]
- 痛み止めは早めに飲む [11]
- 月に10〜15日以上痛み止めを使うと薬物乱用頭痛に [12]
まとめ
- 子どもの頭痛の90%以上は片頭痛や緊張型頭痛。危険な頭痛は少ない [1]
- 危険なサイン: 突然の激しい頭痛、意識障害、高熱+首が硬い [5][6]
- 片頭痛は遺伝性。家族歴がある子が70〜90% [2]
- 片頭痛は冷やして暗い部屋で寝る、緊張型頭痛は温めてストレッチ [2][3]
- 月に4回以上頭痛があれば受診を [11]
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