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「けいれんした!どうしたらいい!?」、熱性けいれん、慌てないための5つの知識
Vol.14救急

「けいれんした!どうしたらいい!?」、熱性けいれん、慌てないための5つの知識

熱性けいれんの正しい対処法と知っておくべきこと

救急6〜12ヶ月・1〜3歳・3〜6歳10
おかもん先生小児科専門医愛育病院 小児科

参考文献 4·Q&A 5問収録

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この記事のポイント

  • 熱性けいれんで脳にダメージは残らず、知的発達にも影響しない。5歳を過ぎるとほぼ卒業
  • けいれん時の対応は「横向き・口に入れない・時間を測る・5分超なら119番」
  • 解熱剤では熱性けいれんを予防できない。予防薬は再発リスクの高いケースのみ

愛育病院 小児科おかもん だより Vol.14

「けいれんした!どうしたらいい!?」、熱性けいれん、慌てないための5つの知識

今号のポイント

  1. 2
    熱性けいれんで脳にダメージは残らず、知的発達にも影響しない。5歳を過ぎるとほぼ卒業
  2. 4
    けいれん時の対応は「横向き・口に入れない・時間を測る・5分超なら119番」
  3. 6
    解熱剤では熱性けいれんを予防できない。予防薬は再発リスクの高いケースのみ

こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。

今回のテーマは熱性けいれん(発熱にともなって起こるけいれん)です。

まず安心していただきたいことがあります。熱性けいれんで脳にダメージが残ることはなく、お子さんの知的発達や学力にも影響しません。 ほとんどが5分以内に自然に止まり、5歳を過ぎるとほぼ起こらなくなります。

「突然白目をむいて、体がガクガク震えだした」。初めてお子さんのけいれんを目の当たりにした時、冷静でいられる保護者はほぼいません。当然です。でも、あらかじめ知識があるだけで、いざという時の行動がまったく変わります。

今号では、熱性けいれんについて「これだけは知っておいてほしい」5つの知識をお伝えします。

Q1.「熱性けいれんってどのくらい起こるんですか?」

お父さん「うちの子が1歳の時に初めてけいれんを起こして、本当に死んでしまうかと思いました。こんなことって珍しいんですか?」

お気持ちはよくわかります。あの光景は本当に怖いですよね。でもまず安心していただきたいのは、熱性けいれんは小児で最も多いけいれんの種類で、決して珍しくないということです。6ヶ月〜5歳の子どもの約2〜5%が経験するとされています [1]。日本では7〜11%という報告があり、欧米より頻度が高い傾向です [2]。つまり、保育園や幼稚園の1クラスに1〜2人はいる計算です

お父さん「そんなに多いんですか!周りにも経験者がいるかもしれないんですね」

はい。ただ、体験した方は『あの時本当に怖かった』というトラウマが強く残るので、なかなか話題にしづらいんですよね。多くの保護者が同じ経験をしていますので、一人で抱え込まないでくださいね

ポイント

  • 熱性けいれんは6ヶ月〜5歳の約2〜5%で発生(日本では7〜11%)[1][2]
  • 保育園1クラスに1〜2人の割合。決して珍しくない

Q2.「けいれんで脳にダメージはないんですか?」

お父さん「けいれんしている間、脳に酸素が行かなくなって障害が残るんじゃないかって……。検索したら怖いことばかり出てきて」

その心配、最も多くいただくものです。結論から言いますと、単純型(一般的なタイプ)の熱性けいれんで脳にダメージが残ることはありません [1]。アメリカ小児科学会(AAP)も明確に、熱性けいれんは『後遺症を残さない』『知的発達に影響しない』『てんかんに移行するリスクはわずか(2〜4%)』と述べています [1]

お父さん「ほ、本当ですか……? あんなに激しく震えていたのに?」

はい。見た目のインパクトと医学的な危険度はまったく比例しないのが、熱性けいれんの特徴です。全身がガクガク震え、白目をむいて、意識がなくなる。確かに見た目は衝撃的です。でもその大半は5分以内に自然に止まり、けいれん後しばらくぼーっとした後、何事もなかったかのように回復します [1]。長期的な追跡研究でも、学力や言語発達、行動面に差は認められていないと報告されています [3]

お父さん「5分以内に自然に止まるんですね。それを知っているだけで、パニックの度合いが全然違います」

ポイント

  • 単純型の熱性けいれんで脳にダメージは残らない [1]
  • 知的発達・学力・言語発達にも影響なし [1][3]
  • てんかんへの移行は2〜4%と低い [1]
  • ほとんどが5分以内に自然に止まる [1]

Q3.「けいれんが起きた時、何をすればいいですか?」

お父さん「前回けいれんした時、パニックで何もできませんでした。次に起きたら何をすればいいか、具体的に教えてください」

けいれん発作時の対応は5つのステップで覚えてください。シンプルにまとめますね

ステップ1:横向きに寝かせる(回復体位=気道を確保しやすい横向きの姿勢)

  • 嘔吐しても窒息しないように、顔を横に向けて寝かせます
  • 硬い床やベッドの上で。柔らかいソファは×

ステップ2:周囲の安全を確保する

  • ぶつかりそうな物を遠ざける
  • メガネやアクセサリーがあれば外す

ステップ3:口に何も入れない

  • 指やタオル、割りばしを入れるのは絶対NG [1]。舌を噛んで死ぬことはありません。むしろ異物を入れることで嘔吐→窒息のリスクが上がります

ステップ4:時間を測る

  • これが最も重要です。スマホの時計でOK。何分何秒続いたかを正確に記録してください [1]

ステップ5:5分以上続いたら救急車を呼ぶ

  • 5分以上止まらない場合は119番 [1]。5分以内に止まれば、落ち着いてから日中にかかりつけ医を受診

お父さん「口に何も入れちゃダメなんですね!おばあちゃんに『舌を噛まないようにタオルを入れなさい』って言われていたんですが……」

これは昔から伝わる誤った民間療法のひとつです。けいれん中に舌を噛み切ることはまずありません。むしろ口の中に物を入れると、歯が折れたり、嘔吐物で窒息したりする危険があります [1]。何もしないで見守り、時間を測ることが、一番正しい行動です

ポイント

  • 横向き → 安全確保 → 口に入れない → 時間を測る → 5分超なら119 [1]
  • 口に指やタオルを入れるのは絶対NG(窒息リスク)[1]
  • 「何もしないで時間を測る」が最も正しい対応

Q4.「解熱剤をこまめに使えば予防できますか?」

お父さん「二度と起こしたくないので、熱が出たらすぐ解熱剤を使って熱を上げないようにしています」

そのお気持ちは本当によくわかるのですが、残念ながら解熱剤で熱性けいれんを予防することはできません [1][4]。これは複数の研究で確認されています

お父さん「えっ! 熱が高くなるとけいれんが起きるから、熱を下げれば防げるものだとばかり……」

実は、熱性けいれんは『熱の高さ』そのものが原因ではないんです。むしろ研究データでは、再発のリスク因子として『比較的低い体温でのけいれん』や『発熱から短時間でのけいれん発生』が挙げられています [1]。つまり、体温が急に変動する過程がけいれんの引き金になると考えられているんです。解熱剤で一時的に体温を下げても、薬が切れれば再び体温は上がります。熱の高さを抑えても、引き金は別のところにあるんです

お父さん「じゃあ、予防のためにできることは何もないんですか?」

前回のけいれんが15分以上続いた場合や、24時間以内に2回以上起きた場合、家族歴が強い場合などは、かかりつけ医と相談の上でダイアップ(ジアゼパム坐剤)という予防薬を発熱時に使う方法があります [2]。ただし全員に必要なわけではなく、再発リスクの高いお子さんに限って使う薬です。解熱剤はあくまでお子さんのつらさを和らげるために使ってください。予防目的では効きません

ポイント

  • 解熱剤で熱性けいれんは予防できない [1][4]
  • 熱性けいれんは「熱の高さ」ではなく体温の急な変動と関連 [1]
  • 予防薬(ダイアップ)は再発リスクの高いケースに限って使用 [2]

Q5.「また起こりますか? 繰り返す子はどのくらいいますか?」

お父さん「また起こるかと思うと、熱が出るたびに怖くて眠れません。再発率ってどのくらいなんですか?」

これも正直にお伝えしますね。全体の再発率は約30%です [1]。ただし、初めてのけいれんの年齢によって大きく変わります

初回けいれんの年齢再発率の目安
12ヶ月未満約50% [1]
12ヶ月以降約30% [1]
そのうち2回目を起こした子さらに約半数が再発 [1]

若いほど再発率が高いのですが、5歳を過ぎるとほとんど起こらなくなります [1]。5歳以降に熱性けいれんが起こることは非常にまれです。また、再発したとしても、予後は同じく良好です。繰り返したからといって脳にダメージが蓄積するわけではありません [3]

お父さん「5歳まで……。あと数年の辛抱ですね」

はい。その「数年の辛抱」を乗り越えるために、今日お話しした対応法を家族全員で共有しておくことが大切です。おじいちゃん・おばあちゃんにも、特に『口に何も入れない』と『時間を測る』を必ず伝えてください。そしてもうひとつ。けいれんの様子をスマホの動画で撮影しておくと、受診時にとても役立ちます。体のどの部分が震えていたか、左右対称だったか、目の向きはどうだったか、これらの情報は診断に非常に重要です [1]

ポイント

  • 再発率は全体で約30%。12ヶ月未満の初発は約50% [1]
  • 5歳を過ぎるとほとんど起こらなくなる [1]
  • 繰り返しても脳へのダメージは蓄積しない [3]
  • 対応法は家族全員で共有。動画撮影は医師の診断に役立つ

今号のまとめ

  • 熱性けいれんは6ヶ月〜5歳の2〜5%に起こる、珍しくないけいれん(日本では7〜11%)[1][2]
  • 脳にダメージは残らず、発達にも影響しない [1][3]
  • 起きた時は横向き・口に入れない・時間を測る・5分超なら119番 [1]
  • 解熱剤で予防はできない。予防薬は再発リスクの高いケースのみ [1][4]
  • 5歳を過ぎるとほぼ卒業。対応法は家族全員で共有を [1]

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愛育病院 小児科 おかもん

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※ この記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さんの症状が心配な場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

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