愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.449
「やけどの応急処置」、20分間の流水が命を救う
今号のポイント
- 2やけど直後は15〜25度の流水で20分間冷却(受傷後3時間以内)
- 4水ぶくれは破らない。軟膏を塗らない
- 6手のひら1枚分以上は受診、顔・陰部・関節は要受診
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
子どものやけどは家庭で最も多い外傷の一つ。味噌汁・ケトル・お風呂・ストーブ・ヘアアイロン…原因は様々です。初期対応の差が数週間の経過を左右します [1]。
20分間の流水が基本
国際ガイドライン(ANZBA、ISBI)・日本熱傷学会ともに、受傷後できるだけ早く(3時間以内)、15〜25度の水道水で20分間冷却するのが標準です [2]。
| 理由 | 説明 |
|---|---|
| 熱の残存を除去 | 真皮の深部まで冷やす |
| 疼痛軽減 | 炎症を抑える |
| 深達度を下げる | 受傷深度の進行を防ぐ |
| 瘢痕軽減 | 治癒後の傷跡が残りにくい |
20分未満だと冷却効果が不十分。氷・氷水は血管攣縮や凍傷を起こすため使いません [2]。
💡流水できない時
広範囲・幼児で体が冷えすぎる場合は、濡れタオルを何度も交換する方法でも可。ただし流水が第一選択。
ポイント
- 20分間の流水が標準 [2]
- 水温は15〜25度の水道水
- 氷・氷水はNG
やけどの深さと広さ
症状
- Ⅰ度(表皮)
- 赤み、痛み
- 浅達性Ⅱ度(真皮浅層)
- 水疱、強い痛み
- 深達性Ⅱ度(真皮深層)
- 水疱、痛み軽度、蒼白
- Ⅲ度(皮下組織)
- 白・黒、無痛
予後
- Ⅰ度(表皮)
- 数日で治癒
- 浅達性Ⅱ度(真皮浅層)
- 1-2週間で治癒
- 深達性Ⅱ度(真皮深層)
- 3-4週間、瘢痕残存
- Ⅲ度(皮下組織)
- 手術必要
| 広さの見方 | 説明 |
|---|---|
| 手のひら1枚 | 体表面積約1% |
| 成人基準の9の法則 | 小児には適用せず |
| 小児はLund-Browder表 | 頭部が大きい |
ポイント
- 手のひら1枚=1%
- 小児は頭部が大きい
- Ⅱ度以上は受診
家庭での対応
| 対応 | 内容 |
|---|---|
| 1. 流水20分 | 最重要 |
| 2. 服はそのまま冷やす | 無理に脱がさない |
| 3. 水ぶくれは破らない | 感染予防 |
| 4. ラップで覆う | 清潔に保つ |
| 5. 痛み止め | アセトアミノフェン |
| 6. 受診 | 範囲・部位による |
| NG対応 |
|---|
| 氷を直接当てる |
| 軟膏・油・味噌を塗る |
| 水ぶくれを破る |
| ティッシュを貼る |
| 無理に服を脱がす |
⚠️軟膏・アロエ・卵白はNG
家庭療法の民間伝承は初診時の評価を妨げ、感染リスクも。流水後はラップで覆って受診を。
ポイント
- 流水→ラップ→受診
- 軟膏・民間療法NG
- 服は無理に脱がさない
受診の目安
| 受診すべき | 理由 |
|---|---|
| 手のひら1枚以上の水疱 | 範囲の評価 |
| 顔・手・関節・陰部 | 機能温存 |
| 化学熱傷 | 特殊処置 |
| 電気熱傷 | 深部損傷 |
| Ⅱ度以上の疑い | 感染リスク |
| 1歳未満 | 重症化しやすい |
| 疼痛強い・水疱多発 | 専門対応 |
ポイント
- 顔・手・関節・陰部は必受診
- 1歳未満は低閾値で受診
- 化学・電気熱傷は特殊対応
予防と環境整備
| 予防策 |
|---|
| 味噌汁・熱飲料をテーブル端に置かない |
| ケトル・炊飯器を手の届く場所に置かない |
| 給湯器の設定温度を50度以下に(可能なら49度以下) |
| ストーブには柵を設置 |
| ヘアアイロンは冷えるまで管理 |
| ライター・マッチは隠す |

🏥
おかもん先生より
家庭のやけどで最も多いのが味噌汁・インスタント麺の熱湯です。我が家では子どもが幼児のうちは、熱い鍋類をすべてテーブルの奥側に置くルールにしていました。一瞬の油断が致命傷になる。「熱いものは子どもから遠く」だけ徹底してください。
ポイント
- 熱いものは奥・高い位置
- 給湯温度設定を下げる
- 予防が最善の治療
まとめ
- 流水20分が救命処置
- 水ぶくれは破らずラップで覆う
- 軟膏・民間療法NG
- 手のひら1枚以上・顔・手は受診
- 予防は環境整備が基本
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