愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.287
「折れない心を育てる」、レジリエンスの育て方
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「失敗するとすぐに諦めてしまう」「ちょっとしたことで心が折れてしまう」、子どものレジリエンス(困難から立ち直る力)を心配される保護者の方は多いです。レジリエンスは生まれつき決まるものではなく、育てることができるスキルです [1]。
Q1.「レジリエンスとは何ですか?」
——レジリエンスという言葉をよく聞きますが、具体的に何ですか?
レジリエンスとは、逆境やストレスに直面した時に、適応し回復する力のことです [1]。困難を経験しないことではなく、困難を乗り越える力です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 逆境に直面しても適応的に機能する能力 [1] |
| 特徴 | 生まれつきの特性ではなく、育てられるスキル [1] |
| 構成要素 | 個人要因+家族要因+環境要因 [2] |
| レジリエンスの構成要素 | 具体例 |
|---|---|
| 自己効力感 | 「自分にはできる」という信念 [2] |
| 感情調節能力 | 感情をコントロールする力 [2] |
| 楽観性 | 困難は一時的と考える傾向 [2] |
| 問題解決能力 | 課題に対処する方法を考える力 [2] |
| 社会的つながり | 支えてくれる人の存在 [2] |
| 意味の見出し | 経験から学びを得る力 [2] |
ポイント
- レジリエンスは育てることができるスキル [1]
- 困難をなくすことではなく、乗り越える力を育てる
- 個人の特性だけでなく環境の力も重要 [2]
Q2.「レジリエンスのある子とない子の違いは?」
——レジリエンスが高い子と低い子は何が違うのですか?
レジリエンスの高さは、考え方と周囲の環境の両方によって決まります [2]。
レジリエンスが高い子
- テストで悪い点
- 「次は頑張ろう」
- 友達とのけんか
- 「仲直りの方法を考えよう」
- 新しいことへの挑戦
- 「やってみよう」
- 失敗した時
- 「何が悪かったかな」
- 困った時
- 「誰かに相談しよう」
レジリエンスが低い子
- テストで悪い点
- 「自分はダメだ」
- 友達とのけんか
- 「もう友達なんていらない」
- 新しいことへの挑戦
- 「失敗したら怖い」
- 失敗した時
- 「もう二度とやらない」
- 困った時
- 「一人で抱え込む」
| レジリエンスを高める保護因子 |
|---|
| 少なくとも一人の安定した大人との関係 [3] |
| 安全で予測可能な環境 |
| 成功体験の積み重ね |
| 感情を表現する機会 |
| 年齢に応じた自律性 |
| 所属感(家族、友人、コミュニティ) |
ポイント
- レジリエンスの鍵は考え方のパターン [2]
- 少なくとも一人の安定した大人との関係が最も重要な保護因子 [3]
- 成功体験の積み重ねが自己効力感を育てる
Q3.「家庭でレジリエンスを育てるには?」
——親として日常的にできることはありますか?
日々の関わりの中でレジリエンスは育ちます [4]。
| 家庭でできること | 具体的な方法 |
|---|---|
| 安心の基地を作る | 「失敗しても大丈夫、帰る場所がある」と感じさせる |
| 感情の名前付けを教える | 「悲しいんだね」「悔しかったんだね」 |
| 問題解決を一緒に考える | すぐに答えを与えず、一緒に考える |
| 適度な挑戦を促す | 少し難しいことに挑戦させる |
| 失敗を学びに変える | 「何を学んだ?」「次はどうする?」 |
| 成功体験を積ませる | 小さなことでも「できた!」を増やす |
| グロースマインドセット(成長思考)を育てる声かけ |
|---|
| 「頭がいいね」→「よく考えたね」(プロセスを褒める) |
| 「才能があるね」→「練習の成果だね」(努力を認める) |
| 「無理だよ」→「まだできないだけ」("まだ"の力) |
| 「失敗した」→「うまくいかない方法がわかった」 |
ポイント
- 安心の基地があるからこそ挑戦できる [4]
- 結果ではなくプロセスを褒めることが重要
- 「まだできない」というグロースマインドセットを育てる [5]
Q4.「過保護はレジリエンスを弱めますか?」
——失敗させないように守ることは逆効果ですか?
適度な困難を経験する機会がレジリエンスを育てます [3]。すべてのリスクから守りすぎると、対処する力が育ちません。
| 過保護の影響 | 適度な見守りの効果 |
|---|---|
| 失敗への耐性が育たない | 失敗から立ち直る経験ができる |
| 自己効力感が低下する | 「自分でできた」という自信がつく |
| 問題解決能力が育たない | 自分で考え、解決する力がつく |
| 不安が増す | 適度な不安への耐性がつく |
| 見守り方のバランス |
|---|
| 安全の確保は親の責任(事故、虐待等からは守る) |
| 日常の失敗は学びの機会として見守る |
| 子ども自身に選択させる機会を作る |
| 結果を体験させる(宿題を忘れたら自分で対処) |
| 困った時は相談できる環境を整える |
ポイント
- 適度な困難はレジリエンスを育てる栄養 [3]
- 安全は守りつつ、日常の失敗は見守る
- 子ども自身に選択と結果の体験をさせる
Q5.「学校でのレジリエンス教育について教えてください」
——学校ではどのようなレジリエンス教育がありますか?
近年、学校でのレジリエンス教育プログラムが広がっています [6]。
| プログラム | 内容 |
|---|---|
| SEL(社会性と情動の学習) | 感情理解、対人スキル、意思決定を学ぶ [6] |
| マインドフルネス | 今この瞬間に注意を向ける練習 [6] |
| ストレスコーピング教育 | ストレスへの対処法を学ぶ [6] |
| ピアサポート | 同年代の仲間同士での支え合い [6] |
| 家庭と学校が協力してできること |
|---|
| 学校での出来事を毎日聞く(良いことも悪いことも) |
| 学校の相談体制(SC、SSW)を把握しておく |
| 家庭と学校で一貫したメッセージを送る |
| 子どもの強みを共有する |
ポイント
- SEL(社会性と情動の学習)が学校教育で注目されている [6]
- 家庭と学校の連携がレジリエンスを高める
- 子どもの強みを認め、伸ばすことが基本
今号のまとめ
- レジリエンスは育てることができるスキル
- 安心の基地+適度な挑戦が育成の鍵
- プロセスを褒めるグロースマインドセットが重要
- 過保護すぎるとレジリエンスが育ちにくい
- 少なくとも一人の安定した大人との関係が最大の保護因子
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