愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.200
「咳が長引きます」、子どもの気管支炎
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
気管支炎は、気管支(肺に空気を送る管)にウイルスや細菌が感染して炎症を起こす病気です。風邪の延長として発症することが多く、咳が2-3週間続くこともあります。今回は、気管支炎と他の咳の原因との見分け方についてお伝えします。
Q1.「気管支炎とは?」
——風邪の後、咳がなかなか治りません
気管支炎は、気管支の粘膜にウイルスが感染して炎症を起こしている状態です [1]。風邪(上気道炎)が下に広がったものと考えてください。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | ウイルスが大部分(ライノ、RS、インフルエンザ等) |
| 症状 | 咳(痰がらみ)、発熱、鼻水 |
| 経過 | 通常1-3週間で改善 |
| 抗菌薬 | ウイルス性の場合は不要 |
| 年齢別の注意点 |
|---|
| 乳児(1歳未満):RSウイルスによる細気管支炎に注意 |
| 幼児(1-5歳):喘息の鑑別が必要 |
| 学童以降:マイコプラズマ肺炎の可能性 |
ポイント
- 多くはウイルス性で抗菌薬は不要
- 咳が1-3週間続くことは珍しくない
- 年齢によって注意すべき原因が異なる
Q2.「咳が長引く場合、何を心配すべきですか?」
——3週間以上咳が続いています
3週間以上続く咳は、気管支炎以外の原因も検討します [2]。
| 咳の持続期間 | 考える原因 |
|---|---|
| 1-2週間 | 通常の風邪・気管支炎(最多) |
| 2-4週間 | 遷延する気管支炎、副鼻腔炎後鼻漏、咳喘息 |
| 4週間以上 | 喘息、副鼻腔炎、胃食道逆流、異物、百日咳 |
| 受診すべき咳 |
|---|
| 3週間以上続く咳 |
| 夜間に目が覚めるほどの咳 |
| 運動後に悪化する咳 |
| 呼吸が苦しそう |
| 血痰が出る |
| 体重が減っている |
ポイント
- 3週間以上続く咳は受診
- 夜間の咳、運動後の咳は喘息の可能性
- 長引く咳には複数の原因がある
Q3.「気管支炎の治療は?」
——咳止めは効きますか?
気管支炎の治療の基本は対症療法です [3]。
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| 水分摂取 | 痰を柔らかくする。最も重要 |
| 加湿 | 部屋の湿度を50-60%に保つ |
| 蜂蜜 | 1歳以上で有効(就寝前にティースプーン1杯) |
| 鼻吸引 | 鼻水が原因の咳には有効 |
| 解熱剤 | 発熱がつらい場合に使用 |
| 注意すべき薬 | 理由 |
|---|---|
| 市販の咳止め | 6歳未満には推奨されない(効果が乏しく副作用のリスク) |
| 抗菌薬 | ウイルス性気管支炎には無効 |
| ステロイド吸入 | 喘息でなければ通常不要 |
「蜂蜜は複数の研究で咳の軽減に有効であることが示されています。ただし、1歳未満にはボツリヌス症のリスクがあるため禁忌です。」
ポイント
- 水分摂取と加湿が基本
- 蜂蜜は1歳以上で有効(1歳未満は禁忌)
- 市販の咳止めは6歳未満には推奨されない
Q4.「細気管支炎とは何ですか?」
——赤ちゃんがゼーゼーしています。RSウイルスと言われました
細気管支炎は、乳児の細い気管支にRSウイルス等が感染して起こる病気です [4]。気管支炎よりも重症化しやすいです。
気管支炎
- 年齢
- 全年齢
- 原因
- 様々なウイルス
- 症状
- 咳、痰
- 重症度
- 通常軽症
- 治療
- 対症療法
細気管支炎
- 年齢
- 2歳未満(特に6か月未満)
- 原因
- RSウイルスが最多
- 症状
- ゼーゼー、呼吸困難、哺乳不良
- 重症度
- 入院が必要な場合がある
- 治療
- 酸素投与、点滴、吸引
「生後3か月未満、早産児、心疾患のある赤ちゃんは重症化リスクが高いため、ゼーゼーが見られたら早めに受診してください。」
ポイント
- 細気管支炎は乳児の病気(RSウイルスが最多)
- 気管支炎より重症化しやすい
- 生後3か月未満は重症化リスク高い
Q5.「咳の予防法はありますか?」
——咳をひかないようにするには?
気管支炎の原因であるウイルス感染の予防が基本です [5]。
| 予防策 | 内容 |
|---|---|
| 手洗い | 最も効果的な感染予防 |
| 咳エチケット | 咳をする時は口を覆う |
| ワクチン | インフルエンザワクチンで予防可能なものもある |
| 加湿 | 部屋の湿度を50-60%に保つ |
| 受動喫煙の回避 | タバコの煙は気管支炎のリスクを上げる |
ポイント
- 手洗いが最も効果的
- 受動喫煙は大きなリスク因子
- 適切な加湿も重要
今号のまとめ
- 気管支炎の多くはウイルス性で、抗菌薬は不要
- 咳が1-3週間続くことは珍しくない
- 水分・加湿・蜂蜜(1歳以上)が基本的な対応
- 3週間以上続く咳は他の原因を検討し受診を
- 乳児のゼーゼー(細気管支炎)は重症化に注意
あわせて読みたい
- Vol.199「クループ症候群」
- Vol.165「気管支喘息の管理」
- Vol.197「気管支炎vs肺炎」
- Vol.155「抗菌薬の正しい使い方」
ご質問・ご感想
「咳が長引いて心配です」「咳止めが効かないです」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
愛育病院 小児科 おかもん先生
本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。お子さまの症状についてはかかりつけの小児科医にご相談ください。