愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.367
産後の抜け毛がすごい:いつまで続く?
シャンプーのたびに排水口に溜まる大量の髪。枕に残る抜け毛。「ハゲてしまうのでは」という不安。
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
産後の抜け毛は、産後の悩みとして上位に挙がる症状です [1]。鏡を見るたび怖くなりますよね。でも安心してください。今回は原因と経過、そして何をすればいいのかをお伝えします。
薄くなったように見えるけど、一時的です。必ず戻ります
「このまま薄くなるのでは」と心配していませんか。産後の抜け毛は一時的なものです。ほとんどの場合、産後1年以内に元に戻ります。
これは「分娩後脱毛症」または「休止期脱毛」と呼ばれるもの。妊娠中はエストロゲンが高い状態で、本来抜けるはずの髪が成長期にとどまっていますが、出産後にエストロゲンが急落すると一斉に休止期に入って、まとめて抜け落ちます [2]。
産後23か月で始まって、46か月がピーク、612か月で徐々に回復し、1218か月でほぼ元通りに。大量に抜けて怖いと思いますが、これは一斉に「在庫整理」が起きている状態です。新しい髪はもう生え始めています。
高いシャンプーも育毛剤もいりません。食事と睡眠がいちばんのケアです
特別なサプリや高価なヘアケア製品は不要です。
いちばん大切なのは鉄分を意識して摂ること。産後の鉄欠乏は抜け毛を悪化させます。赤身肉、小松菜、ひじきを意識してみてください。タンパク質も十分に(髪の主成分はケラチンというタンパク質です)。亜鉛を含む食品(牡蠣、牛肉、卵)も助けになります。極端なダイエットは避けてください [3]。
そして睡眠の確保が最大のヘアケアです。成長ホルモンが毛髪の成長を促します。高いシャンプーや育毛剤に頼る必要はありません。
ミノキシジル(リアップ等)は授乳中使用禁忌です。乳汁に移行する可能性があります。フィナステリド・デュタステリドは女性には適応外で絶対に使用しないでください。産後の抜け毛の多くは育毛剤なしで自然回復します。
1年過ぎても戻らないなら、別の原因があるかもしれません
1年を超えても回復しない場合は、皮膚科を受診してください。甲状腺機能低下症や鉄欠乏性貧血が隠れていることがあります [4]。特定の部位だけが著しく薄くなる場合は円形脱毛症の可能性もあります。
回復までの期間は、前髪を作る、分け目を変える、ヘアアクセサリーで気になる部分をカバーする、美容師に相談する、といった工夫で乗り越えられます。見た目が気になって外出を控えるようになっているなら、それ自体がストレスの原因です [5]。帽子をかぶってでも外に出てください。日光と散歩は回復を助けます。

おかもん先生より
2人目、3人目の出産でも起こる可能性がありますが、前回の経験があるぶん「これは一時的なもの。前回も治った」と自分に言い聞かせることができます。それが精神的な支えになります。
今号のまとめ
- 産後の抜け毛はエストロゲンの急激な低下が原因で、産後4~6か月がピーク
- ほとんどの場合、産後1年以内に自然回復する
- 鉄分・タンパク質の摂取と睡眠確保が最大のケア
- ミノキシジルは授乳中使用禁忌。多くの場合、育毛剤は不要
- 1年以上回復しない場合は皮膚科を受診
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愛育病院 小児科 おかもん先生
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