愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.248
「血液の検査をしましたが」、新生児マススクリーニング
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
「入院中にかかとから血を取られたあの検査、何だったんですか?」と退院後の健診で聞かれることがあります。新生児マススクリーニングと呼ばれる検査で、症状が出る前に治療を始めれば知的障害や突然死を防げる病気を、一気にまとめてチェックしてくれる仕組みです。今回は、その中身と結果の読み方を整理します。
Q1.「新生児マススクリーニングとは?」
——入院中に赤ちゃんのかかとから血を取られましたが、何の検査ですか?
先天性の代謝疾患やホルモン異常を早期発見する検査です [1]。
| 基本情報 | 詳細 |
|---|---|
| 時期 | 生後4-6日 |
| 方法 | かかとから少量の血液をろ紙に採取 |
| 対象 | 全ての新生児(公費) |
| 検査法 | タンデムマス法 |
| 結果 | 約2週間で通知 |
| 歴史 |
|---|
| 1977年〜 6疾患で開始 |
| 2014年〜 タンデムマス法導入で約20疾患に拡大 |
| 年間約100万人の新生児が検査 |
ポイント
- 全ての新生児が対象の公費検査
- 生後4-6日にかかとから採血
- タンデムマス法で約20疾患を検査
Q2.「どんな病気が見つかりますか?」
——どんな病気を調べるのですか?
早期治療で障害を予防できる約20の疾患を調べます [2]。
| カテゴリー | 疾患例 |
|---|---|
| アミノ酸代謝異常 | フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症 |
| 有機酸代謝異常 | メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症 |
| 脂肪酸代謝異常 | MCAD欠損症、VLCAD欠損症 |
| 内分泌疾患 | 先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成 |
| その他 | ガラクトース血症 |
| 主な疾患と治療 |
|---|
| フェニルケトン尿症:特殊ミルク・食事療法で知的障害を予防 |
| 先天性甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモン補充で正常発達 |
| MCAD欠損症:空腹を避けることで突然死を予防 |
ポイント
- 約20の疾患を一度に検査
- 早期治療で障害を予防できる
- 代謝異常とホルモン異常が主な対象
Q3.「再検査と言われたら?」
——再検査が必要と言われて心配です
再検査=病気ではありません [3]。
| 再検査の理由 | 詳細 |
|---|---|
| 偽陽性 | 実際には病気がない(最も多い) |
| 採血条件 | 哺乳量不足、採血時期の問題 |
| 一過性異常 | 未熟児などで一時的に異常値 |
| 真の陽性 | 実際に疾患がある(まれ) |
「再検査で引っかかる確率は約0.1〜0.3%とされていますが、そのうち本当に病気だったというお子さんはさらにごく一部です。連絡が来るとびっくりされますが、まずは冷静に再採血を受けてください。」
| 再検査の流れ |
|---|
| 再採血(同じ検査を再度) |
| 精密検査(専門施設で詳しい検査) |
| 確定診断(必要な場合) |
| 治療開始(確定した場合) |
ポイント
- 再検査の多くは偽陽性
- 焦らず精密検査を受ける
- 早期発見・早期治療が重要
Q4.「検査で見つからない病気もありますか?」
——この検査で全ての病気が分かるのですか?
マススクリーニングで全ての先天性疾患が見つかるわけではありません [4]。
| 検査の限界 | 詳細 |
|---|---|
| 対象外の疾患 | 染色体異常、構造異常等は対象外 |
| 偽陰性 | まれに見逃すことがある |
| 発症時期 | 新生児期以降に発症する疾患は検出困難 |
| 今後の展望 |
|---|
| 脊髄性筋萎縮症(SMA)のスクリーニング追加 |
| 重症複合免疫不全症(SCID)のスクリーニング |
| ライソゾーム病のスクリーニング |
ポイント
- 全ての疾患が見つかるわけではない
- 検査対象疾患は拡大傾向
- 気になる症状があれば受診
Q5.「検査を受けないこともできますか?」
——検査は必須ですか?
任意ですが、全てのお子さんに受けていただきたい検査です [5]。
| 検査を受ける意義 | 詳細 |
|---|---|
| 早期発見 | 症状が出る前に発見できる |
| 障害予防 | 早期治療で知的障害・身体障害を予防 |
| 公費 | 費用は公費負担(無料) |
| 安全 | かかとからの少量採血で安全 |
「制度上は任意ですが、見つかる病気はどれも『気づいたときには手遅れ』になりやすいものばかりです。公費でほぼ無料(自治体により一部異なる場合があります)で、採血の負担もわずかなので、全員に受けてほしい検査です。」
ポイント
- 任意だが全員に推奨
- 公費負担で無料
- 早期発見で障害を予防できる
今号のまとめ
- 新生児マススクリーニングは全新生児対象の公費検査
- 約20の疾患を生後4-6日の採血で検査
- 再検査の多くは偽陽性で心配しすぎない
- 早期発見・早期治療で障害を予防
- 検査対象疾患は今後さらに拡大予定
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- Vol.207「難聴スクリーニング」
- Vol.245「鉄欠乏性貧血」
ご質問・ご感想
「マススクリーニングで再検査と言われました」「検査について詳しく知りたい」など、ご経験やご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。
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