愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.216
「近視が進んでいます」、子どもの近視予防
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
子どもの近視は世界的に増えていて、日本でも裸眼視力1.0未満の子が小学生で4割近く、中学生で6割、高校生で7割に達しています(文科省 学校保健統計)。早めに進行を抑える手を打てると、将来の強度近視のリスクを下げられます。今回は、子どもの近視予防についてお伝えします。
Q1.「なぜ近視が増えているのですか?」
——最近の子どもは近視が多いのですか?
近業(近くを見る作業)の増加と屋外活動の減少が原因と考えられています [1]。
| 近視増加の要因 | 詳細 |
|---|---|
| 近業の増加 | スマートフォン、タブレット、ゲーム |
| 屋外活動の減少 | 日光暴露の減少 |
| 遺伝 | 両親が近視の場合リスクは高い |
| 学習時間の増加 | 読書、宿題 |
| 日本の近視の現状(裸眼視力1.0未満の割合、文科省R3年度学校保健統計) |
|---|
| 小学生:約38% |
| 中学生:約60% |
| 高校生:約70% |
| 30年前と比べて大幅に増加 |
ポイント
- 近業と屋外活動不足が原因
- 遺伝も関与する
- 世界的に増加傾向
Q2.「近視は何が問題ですか?」
——眼鏡をかければいいのでは?
強い近視は将来の眼疾患のリスクを高めます [2]。
| 強度近視のリスク | 詳細 |
|---|---|
| 網膜剥離 | リスクが約20倍 |
| 緑内障 | リスクが約3倍 |
| 黄斑変性 | リスクが約40倍 |
| 白内障 | リスクが約5倍 |
「近視そのものは眼鏡で矯正できますが、強度近視になると失明リスクのある病気にかかりやすくなります。」
ポイント
- 強度近視は将来の眼疾患リスク
- 網膜剥離・緑内障のリスクが上がる
- 進行を遅らせることが重要
Q3.「近視を予防する方法は?」
——近視を予防できますか?
屋外活動が最も効果的な予防法です [3]。
| 予防法 | 効果 |
|---|---|
| 屋外活動(1日2時間以上) | 近視発症リスクを有意に低下(学校での40分追加で発症率が約23%低下、He 2015) |
| 20-20-20ルール | 20分近業→20秒→20フィート(6m)先を見る |
| 適切な距離 | 目と本・画面の距離を30cm以上 |
| 明るい環境 | 暗い場所での読書を避ける |
| 十分な睡眠 | 睡眠不足は近視を促進 |
「屋外活動の効果は日光(明るさ)によると考えられています。曇りの日でも屋外にいることに意味があります。」
ポイント
- 屋外活動1日2時間が目標
- 20-20-20ルールを実践
- 曇りの日の屋外でも効果あり
Q4.「近視の進行を遅らせる治療は?」
——進行を遅くする方法はありますか?
いくつかの治療法がエビデンスを持っています [4]。
効果
- 低濃度アトロピン点眼(0.01-0.05%)
- 進行を約30-60%抑制(0.05%で最大、Yam 2019 LAMP)
- オルソケラトロジー
- 進行を約40-50%抑制
- 多焦点ソフトコンタクト
- 進行を約25-50%抑制
- 多焦点眼鏡
- 効果はやや限定的
特徴
- 低濃度アトロピン点眼(0.01-0.05%)
- 毎晩1回点眼
- オルソケラトロジー
- 夜間装用の特殊コンタクト
- 多焦点ソフトコンタクト
- 日中装用
- 多焦点眼鏡
- 二重焦点レンズ
「低濃度アトロピン点眼は簡便で副作用も少なく、近視進行抑制の第一選択として注目されています。」
ポイント
- 低濃度アトロピン点眼が注目
- オルソケラトロジーも効果あり
- 眼科医と相談して選択
Q5.「スクリーンタイムはどのくらいが適切?」
——タブレットやスマホの時間を制限すべきですか?
近業の時間管理が近視予防に重要です [5]。
| 年齢 | 推奨スクリーンタイム |
|---|---|
| 2歳未満 | 避ける(ビデオ通話を除く) |
| 2-5歳 | 1日1時間以内 |
| 6歳以上 | 時間制限+休憩を設ける |
| スクリーンタイムの工夫 |
|---|
| 30分ごとに休憩を入れる |
| 画面と目の距離を30cm以上 |
| 寝る前1時間は画面を見ない |
| 屋外活動とバランスを取る |
ポイント
- 年齢に応じたスクリーンタイム管理
- 30分ごとに休憩
- 屋外活動とのバランスが大切
今号のまとめ
- 子どもの近視は増加しており、強度近視は眼疾患リスクを高める
- 屋外活動1日2時間が最も効果的な予防
- 20-20-20ルールを実践
- 低濃度アトロピン点眼等で進行を抑制
- スクリーンタイムの管理が重要
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ご質問・ご感想
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