愛育病院 小児科おかもん先生 だより Vol.456
「熱中症の見分け方」、症状別の重症度と応急処置
今号のポイント
- 22024年改訂で熱中症はI〜IV度の4段階に分類
- 4深部体温40度以上+GCS8以下はIV度(最重症)
- 6即時冷却+経口補水液+涼しい場所が三本柱
こんにちは。愛育病院小児科のおかもん先生です。
夏の外来で多い相談が熱中症です。子どもは体温調節が未熟で短時間でも重症化します [1]。見分け方と現場対応をまとめます。
熱中症の分類
日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2024では、従来の3段階にIV度(最重症群)が追加されました [2]。
症状
- I度
- めまい・立ちくらみ・筋肉痛・こむら返り、意識障害なし
- II度
- 頭痛・嘔吐・倦怠感・JCS1程度の集中力低下
- III度
- 意識障害(JCS2以上)・けいれん・肝腎障害・凝固異常
- IV度
- 深部体温40度以上かつGCS8以下
対応
- I度
- 現場で対応
- II度
- 医療機関受診
- III度
- 入院治療
- IV度
- 集学的治療
III度・IV度は従来の「熱射病」に相当し、致死率の高い状態です。
ポイント
- I度は現場対応可
- II度は受診 [2]
- III度・IV度は119番
子ども特有のリスク
| 要因 | 説明 |
|---|---|
| 汗腺が未発達 | 熱放散が弱い |
| 体表面積/体重比 | 外気温の影響大 |
| 水分要求が多い | 少量の不足で脱水 |
| 訴えが少ない | 症状発見が遅れる |
| 背丈が低い | 地面からの輻射熱 |
WBGT(暑さ指数)28度以上で運動制限、31度以上で原則中止が目安です [3]。
ポイント
- 子どもは短時間でも重症化
- 訴えを待たず先回り補水
- WBGTで判断
即時冷却の優先順位
熱中症は「治療開始の速さ」が予後を決めます [4]。
| 優先度 | 方法 |
|---|---|
| 1 | 涼しい場所(日陰・エアコン車内)へ移動 |
| 2 | 衣服を脱がせる/緩める |
| 3 | 首・脇・鼠径部を冷却(太い血管) |
| 4 | 霧吹き+送風(気化熱) |
| 5 | 水を含ませたタオルで全身 |
| 6 | 経口補水液を少量頻回 |
体表温度を下げるより、太い血管を冷やす方が深部体温を効果的に下げられます。
ポイント
- 30分以内の深部温低下が鍵 [4]
- 冷却は3部位集中
- 霧吹きで気化熱も活用
経口補水液の使い方
| 状況 | 飲み物 |
|---|---|
| 予防 | 水・麦茶 |
| I度症状あり | 経口補水液(OS-1) |
| 嘔吐なし | 少量ずつ、15分ごと |
| II度以上 | 医療機関で点滴が基本 |
スポーツドリンクは糖分が多く、熱中症治療には経口補水液の方が吸収が速い [3]。
嘔吐・意識低下がある時に水を飲ませると誤嚥します。点滴できる医療機関へ搬送を。
ポイント
- 経口補水液が標準 [3]
- 15分ごと少量
- 意識不明時は禁忌
救急要請の判断
| III度・IV度(救急要請) |
|---|
| 意識がおかしい |
| 呼びかけに反応しない |
| けいれん |
| 40度以上の高体温 |
| 汗をかかない |
| 手足が冷たい・ふるえ |
| II度(医療機関受診) |
|---|
| 頭痛・嘔吐を繰り返す |
| 経口補水液が飲めない |
| 30分冷却しても改善しない |
| ぐったりしている |
ポイント
- 意識・高体温・発汗停止は即119番
- II度は医療機関へ
- 迷わず相談を
予防策
| 予防 | 内容 |
|---|---|
| 起床時・運動前に水分 | 早めの補水 |
| 20-30分ごとに休憩 | 時間管理 |
| 涼しい服装 | 通気性・淡色 |
| 帽子 | 直射日光対策 |
| 冷却グッズ | 首に冷感タオル |
| 塩分補給 | 塩分タブレット |
| WBGTをチェック | 活動可否の判断 |

おかもん先生より
毎年夏、熱中症で救急に運ばれる子の多くは「のどが渇いたと言わなかったから飲ませていなかった」と家族が話されます。子どもは訴えが遅い。タイマーをセットして20-30分ごとに「はい、お水の時間」と声をかける習慣を。私自身、家族で公園に行くときは腕時計のアラームを使います。
ポイント
- 「渇く前」に水分
- 時間管理でリズム
- WBGTを見て判断
まとめ
- 2024年改訂で熱中症はI〜IV度の4段階
- 深部体温40度以上+GCS8以下はIV度
- 即時冷却は首・脇・鼠径部
- 経口補水液が標準
- 予防は先回りの水分補給
あわせて読みたい
- Vol.441「夏祭りと熱中症」
- Vol.440「運動会前の体調管理」
愛育病院 小児科 おかもん先生
本メルマガの内容は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。